今日は好日Vol.2
2023年 8月7日 民族音楽について
この絵と民族音楽はどうつながるのか、私なら最初にこの写真を見せられたら、きっと風の谷のナウシカについて語りだすのではないかと思ってしまう。ところがこの図を持ち出したのは昨晩、はこだて国際民族芸術祭で演奏されていたイランイスラム共和国のnavaye mehr band(ナバイメールバンド)の情報をお伝えしたかったからだ。
というのも私の中でイランという国のイメージはイスラム革命など日本とは古くから友好国であるにもかかわらず、外交的にはいろいろ厳しい環境にあった国だからだ。そんなアーティストの演奏を昨晩は間近で観賞することが出来た。そこで思ったのは彼らが演奏する民族音楽が辿った歴史についてだ。この音楽を聴いて楽しんでいたのは、きっと演奏家を支配していた王侯貴族たちに違いない、そう思うと改めてこれはなんと贅沢なことかと思うのだ。この素晴らしい演奏に出合わせてくれたアーティストや主催者に感謝したくなる。
そこで改めてイランの歴史をウェキペディアで検索してみたが、際限がないというのが正直なところで、結局メソポタミアやシュメールなどの文明まで遡ることになるからだ。しかもそうなると地域を特定することさえ難しくなる、というのもイランを遡り戦前まで使われていたペルシャに置き換えてその歴史をたどってみても、その歴史は果てしなく過去に遡ることになる、例えば最大の勢力圏を持ったアケメネス王朝になるとアジアやヨーロッパ、エジプトまで勢力圏に入ってしまう。どうりでエジプトの民族音楽と曲想が近いのもうなずけるのだ。
こうしてみると民族音楽は簡単に現代の国境を超えてしまうもののようだ、むしろそれは歴史そのものと言ってもいいかもしれない。つまりこのことは宗教の伝播とも深くかかわっているはずで、今でこそイラクはイスラームが宗教の中心になっているが、歴史的にはその教えが伝わる前のアケメネス朝ペルシャではゾロアスター教が信じられていた。つまり、アケメネス王朝のペルシャ人はゾロアスター教という拝火教を信じていたのだ。
そこでゾロアスター教を調べてみると、なにやら映画の風の谷のナウシカで見たタペストリーを思い出させる図を見つけてしまった。そこにあったのが、上の図で多神教のゾロアスター教で用いられる森羅万象に宿る聖霊フラワシを表したものだそうだ。こうなると最近見た映画のシーンが蘇ってしくる、たしかあの映画でも盛んに描かれていたのは鳥と火のモチーフではなかっただろうか、しかもこれがこの記事の落ちではなかった。というのは先ほど風の谷のナウシカにあったタペストリーを調べていたら、フランスで最近千と千尋の巨大なタペストリーを町興しのために織られたという記事を見つけた。因みに今回ベルギーから参加されたSzabadsa’gのバイオリン奏者は織物の町フランスリヨンの出身だそうだ。
私はこの記事を時空を超えた音楽の普遍性についてお伝えしたかったのだが、結局最後までジブリ祭りになってしまった。