今日は好日Vol.2
2023年 10月5日 信賞必罰
先日鈴木宗男参議院議員がモスクワを訪問しロシアの外務次官と会談したという報道があった。当然政府も承知のこととは思ったが、政府は認知しないままの会談だったらしい。またこのことは所属政党への報告もなかったという声明が政党から出された。
私は国会議員は公務員に準じる待遇である為、政府の呼びかけには、率先して従う必要があると思っている。また日本の国会は政党政治を基盤においているため政党の方針とも合致した行動が必要だろうと思っている。このことがなぜ重要なのかといえば、国民の政治に対する関心が失われないためだ。
というのもこれまで民意は何度となく政治家の勝手な行動によって踏みにじられてきたからである、その結果国民は選挙権というものをどんどん軽んじるようになってしまった。このことは造反議員の処遇ばかりでなく政党そのものが選挙後、いとも簡単に公約の変更や改名、統合が繰り返されてきたことにもよる。
個人的な裏切りであればまだ救いようがあるかもしれないが、政党そのものが公約をうやむやにして、なんらとがめを受けないのでは、政治そのものが信頼を失ってしまうのだ。その結果が現在日本の投票率が世界でも以上に低い結果に表れている。このことは決して日本の国民が怠惰なのではなく、これまで政治が大切な民意を踏みにじってきた結果なのである。
とはいえ選挙が民主主義の根幹であれば、このような政治不信は国民にとって自由と希望を同時に失ってしまうことに他ならない。
さてここまで国の秩序を維持していくためには、私は信賞必罰に表現される厳正な態度が必要だと考えている。とはいうもののこれは政府の方針が全く正しいということを言っているのではない。民主主義の秩序を維持するためには、このような考え方が必要だろうということなのだ。むしろ私が思うところと鈴木議員の思うところは重なるところが多い、というのも国の将来や国益を真っ先に考えた場合、この戦争に日本が加担することは国益どころか取り返しのつかのない事態になると考えるからだ。
例えばこの戦争が継続された場合、日本はすでに世界に向かってウクライナ支援を約束している。そこで日本に期待されれる支援の金額は20兆円と言われている。それに比べて自国を護るための国防費には1兆円の増税が必要で、政府は国防か増税かをだとも言われている。そればかりではない、国の根幹をなす待ったなしの少子化対策にも、政府は財源を示さなければならず、その財源として健康保険料を引き上げてはどうか、などという意見も交わされていたほどだ。ところが、この異次元で待ったなしの少子化対策ですら予算は10兆円にすぎない。つまり少子化対策費も日本の防衛費も足したところで11兆円にしかならないので、20兆円という額はこの先日本の国民にどれほどの負担が必要になるのか、恐ろしくなる。それにもかかわらずその借金の連帯保証人に日本が名乗りを上げているのだ。さて、このような状況に対し体を張って停戦の要請に赴いた人間と、はたしてどちらが国賊と言えるのかを考えてほしい。
もし誰もロシアとの国交正常化についてアクションを起こさなければ、ますますロシアの日本に対する態度は硬化していくに違いない。その動きはすでに北方4島への軍事施設の配備や北朝鮮との交流強化に現れている。このような状況で北海道の漁業は何時になったら生活の活路を見出すことが出来るのだろうか、あるいは北方領土返還の活動をする人たちも、墓参の解禁を願う人たちも政府の方針では、ロシアが戦争に負けるか破綻することでしか平和的な解決は望めない。その結果を知るためには、後の世で歴史を振り返ってみることでしか確かめることは出来ないが、現在の世界情勢をみれば、それがどれほど困難なことかが分かる。
確かに秩序を乱した罪は責められても仕方のないことだが、秩序に背いたとはいえ吉田松陰が残した足跡まで否定することは出来ない。秩序に背いてもなお国を思うこともあるのだ。