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今日は好日Vol.2

2024年1月5日gallery,ようこそ,自作俳句絵画 無意識

2023年 1月7日 小説 日本水素エネルギー株式会社

この物語は現在の日本で最も高額な納税を果たし連結の社員数36万人以上を誇るトヨタ社が本社機能の海外移転を検討しているという噂を耳にしてしまったことから始まる。噂によると移転の理由はマスコミや政府の対応に愛想が尽きてしまったそうなのだ。 悲しいことに私もこの思いには共感するばかりだ。これまで世界の自動車産業をリードしてきたメーカーの良心からすれば、EV一辺倒の脱炭素化にはかなりの違和感を感じているに違いない。そしてその違和感はこの冬の急な降雪によって顕在化されてしまった。それは降雪による大渋滞においてEV車の救出が特に困難であったことから、積雪の多い地域でのEV普及には限界がある、ということだ。   ではこのような危険性の認められたEV車に対しマスコミはなぜ警鐘を鳴らさないのだろうか、また、政府はこれほど国の安全をも脅かしかねないエネルギー問題に対し、何故積極的な取り組みを示さないか、これまで、為替の動きには大騒ぎをしてきたマスコミも、その根本的にあるのはエネルギーや原材料の海外依存である。 このような一庶民が見ても現在の政府とマスコミの迷走ぶりは、呆れてしまうよりも恐ろしくさえ感じるのである。現政権の選挙公約では富の分配を積極的に行い経済を活性化させるとあったが、実際の政権運営では何をするにもその財源を増税につなげてくる、一体これが経済の活性化を本当に望んでいる政策なのかと頭を傾げてしまうばかりなのである。 ところがこのようなその場しのぎの政策を改め、新しく政府の打ち出した政策は画期的であった。 この政策は脱炭素化というこれまでの自動車会社にとって大ピンチともいえる環境を逆手にとる政策で、ピンチどころか、日本の自動車産業界を一躍世界をリードするチャンスに変えてしまったのである。 この政策によって誕生したのが、日本水素エネルギー株式会社だった。その主な取り組みは全国に一斉に水素エネルギーの供給拠点を展開することで、あらたなインフラの整備を行うことである。なぜこの取り組みが必要かといえば、自動車メーカーだけでは全国展開させる供給拠点のインフラ整備が困難だからである。さっそく政府はこの新会社に対しETFとGPIFからの資金を出資し、政府は50%の株式を保有した。 この会社設立の目的は単に車両に対する燃料供給だけではなかった、その目的は化石燃料から水素燃料への転換によるエネルギー革命を推進させることで、これまで日本にはなかった、エネルギーに対する発言権を持つためである。このエネルギー革命は化石燃料に依存することで繰り返されてきた幾多の殺戮の歴史から日本を解放することに繋がった。 さて、この会社の事業内容は現在のガソリンスタンド同様、車両に対する水素燃料供給のほかに、燃料電池を使用した発電を行いEV車や家庭への電力供給機能も可能にする。将来的には燃料電池の発電で発生した水素を水素エンジン車両に供給するというエネルギーの循環系を目指すことにある。また、巨大な発電施設から小型の発電施設を分散して保有することによって、災害時の停電や有事におけるインフラ攻撃への備えにもなる。 つまりこの政策によってトヨタ社は世界に先駆け日本を水素エンジンの市場とすることが出来き。政府としては、最も大きな納税先を日本に留めることが出来たわけだ。さらには、燃料電池の技術を持つホンダとの技術協力によって日本は脱炭素化社会における最終的なエネルギー革命を成し遂げることが出来たのだ。このモデルが世界のスタンダードとなり、世界史に残るエネルギー革命が、日本発で広がっていった。さらに、これまで増税に頼るしかなかった税収も、この取り組みで新たな財投のモデルが誕生したことになる。これらの投資で得られる分配金や、会社の持つ信用力によって財政はさらに潤い、過度な増税を抑制することが出来たのだ。 そして日本はこのような政府の積極的なエネルギー政策により、国民は自分たちの未来に大いなる希望を抱くことが出来た。また地球上に無尽蔵に存在する水素が、世界の新しいエネルギーとなったことは、これまでの限られたエネルギーを奪い合っていた世界から、人類は本当の平和を手に入れることが出来たのだ。世界の平和はあの時のあの総理の決断から生まれたのだ。さらに日本国はこの政策以降、自然な人口増加を実現することが出来た。なぜなら、政府の手厚い福祉政策により教育の完全無償化と24時間保育が可能になり、また個人による子育てから社会が責任をもって命を育てる社会が実現したのだ。これまでのように個人が生活困窮のために出産を諦めなくても、安心して出産ができる世の中になったからだ。 政府と企業、国民が信頼しあって日本の未来を思い描くことが出来れば、日本の未来はきっと明るいはずだ。