今日は好日Vol.2
2023年 2月22日 侵攻のゆくへ
昨日はアメリカ大統領がウクライナを突然訪問したというニュースが流れ、驚かれた方も多かったのではないだろうか。これがどれほど違和感のある話かといえば、1990年のイラクの侵攻時にアメリカ大統領が、侵攻先のクエートに突然現れたというくらいショックな話だ。我々が頭に描くアメリカの大統領は常に核のボタンを携え、いつでもそのボタンに手を掛けることが出来るような人だ。そんな人が突然戦争中の国に極秘の訪問をしたことになる、通常取り巻きに反対される場面だが、大統領には居ても立っても居られない特別な思いがあったのかもしれない。 報道から聞こえてきたのはウクライナへの軍事支援の呼びかけだ。報道の内容からすると大統領はウクライナに対し無制限の支援を約束したようだ、つまりこのことでNATOの結束を促しているのだが、逆に考えればそれほどNATOの足並みは揃っていないのだろうか。 そして大統領はこの侵攻でロシアの勝利はないと公言しているが、はたしてそのロシアの勝利とは何を指すのだろうか、このことを明確にするためには、そもそも何故ロシアが武力侵攻したのかが、明確にならなければ勝利が何を持って得られるのか見えてこない。つまりプーチン大統領がこの侵攻によって世界からどのような批判を浴びるか、考えなしに軍を動かしたというのは考えづらいのだ、きっと大統領には命がけの決断があったはずである。 その答えはいずれ明らかになるのだろうが、西側が最も期待しない答えは、恐らくロシアが大攻勢を控え軍がドンバス地方から動かないことである。こうなってしまうと西側にとってロシアの領土拡大の野心は証明できなくなってしまう。当然世論は後々ロシアが戦線を拡大しなかった理由を探ることになり、その理由がミンスク合意が果たされなかったことだったとなれば、合意に立ち会った国々の責任は免れない。私はこれがロシアの勝利と言えるのではないかと思っている。 一方その反対に、ロシアが西側の体制が整う前に首都キーウを包囲するような作戦をとれば、もともとロシアの侵攻は領土拡大が目的だったとなり、西側は正義のためにロシア政権が倒れるまで戦争を続けることになる。その場合、最悪のシナリオとして西側の機甲師団に対しロシアからの小型戦術核使用も考えられる。こうなった場合の戦争終結は誰にも想像がつかないことになるだろう。 ところで、このような緊迫した場面で中国は粛粛と動き出した。このタイミングと言いその早さと言い、さすがと言う他ない、この行動で中国はその存在感を世界に見せつけることが出来たといえる。報道では中国が両国の停戦交渉仲介を申し出たそうだが、いつのまに中国はウクライナと近づいたのか疑問が湧いてくるところだ、とはいえおそらく中国にとって停戦交渉は何の利益ももたらさない、むしろ考えられるのは中国がNATO各国に対しエネルギー供給の窓口になり得ることをアピールしたかったのではないだろうか。というのも現時点で中国はサウジやロシアと強く結びつき安定的なエネルギー供給先を確保しているからだ。そして現時点でのヨーロッパにはその供給先が圧倒的に不足している、今ある北海油田とアメリカからの供給をEU全体で分け合わなければならないとしたら、中国の存在はヨーロッパ各国にとって魅力的に映るに違いない。 結局この戦争はロシアと中国の関係を強めサウジとの交渉にも成功した中国に相当の部があるように見うけられる。現在、仮想通貨でもその存在感を増している中国の影響力を、この戦争はさらに強めているのではないだろうか。 このことによって、本来この戦争の仲裁役としてもっとも適役ともいえる日本が、外交で活躍できるチャンスをみすみす失ってしまったのである。私の妄想では日本からの停戦交渉として、ウクライナに対しては復興支援を約束しその代わりドンバスへの軍備を撤去すること、またロシアに対しては、日本の軍事的中立と開発支援を約束し、ドンバス地方からのロシア軍を退却させドネツク、ルガンスクは非武装地帯としてウクライナの統治を認めるというものだ。これをもってロシア中央銀行のG8参加を認めることで、再びユーラシアを囲む経済圏が出来上がるのではないだろうか。このことにより円の価値は何とか永らえることが出来る。 そのためには、憲法を改め自分の国は自分で守るという当たり前の国にすることが必要だ、自分の安全のために他人の命を盾にして良いはずがない。私が今何度も訴えるのは、このままでは日本の意志に関わらず戦争に巻き込まれる危険がすぐ目の前にあるということなのだ。平和を望まれる方は是非心に留めてほしい。