今日は好日Vol.2
2023年 3月2日 火事場泥棒
これは善良な日本人が最も卑劣に思う行為だ、これまで日本人が天地がひっくり返るほどの震災にあっても、毅然として秩序正しい行動をとられたことは、日本人として何よりの誇りだ。 それに引き換え人の不幸に乗じて利得を得るという発想は、日本人であれば、恥ずべき行為だということが日本人の共通認識だと思っていた。ところが昨日も首相がウクライナを訪問することが国益になるといって、首相に促している議員がいるという報道があった。 このことについて、いったい日本の首相が戦地を訪問することに、どんな国益があるのか私には理解が出来なかった。もしこの状況で国益を考えるとすれば、どこの領土と資源を奪うことなのか、あるいは国際社会における信頼の向上なのだろうか。とはいえ、そもそも交戦権すら持たない国が戦場に赴いて何を訴えるというのか。失礼だがウクライナに国益といえるエネルギー資源はない。これまでのおもな輸入品は、世間に嫌われるたばこくらいだ。ましてやNATO加盟国でもない日本が、地球の反対側にある国の戦争を煽って一体何を得ようというのか。 ひょっとしてロシア政府が倒れた後のエネルギー利権をどこぞの国と一緒に狙おうとでもいうのか、だとしたら、これは非道というものではないか。これほど浅ましい今の国会議員のために、国民はこれから、どれほどの税金を負担しなければならないのだろうか。 しかも現在の戦争の状況を見るにつけ、この考えがいかに現実離れしていて愚かしい考えであるかが分かる。 さて以前にも述べた通り、この戦争でロシアがドンバス地方を超えて侵攻してこなければ西側の勝利はない。それは、いずれロシア側の侵攻理由が表面化してくるからだ。そのことにより一方的に西側がロシアの侵攻を非難することは難しくなる。そうなるとNATOは結束どころかEUの結束まで覚束ないことになるだろう。さて噂では、2月以降ロシアの大攻勢が始まるとあったが、とうとう3月に入ってしまった。しまいにはロシア軍の侵攻を足止めしているは暖冬で侵攻の環境が整わないからだ、などという理由まで上げられている。 では、もしロシア軍がこのままドンバス地方に留まってしまった場合は、西側からドンバス地方のロシア軍に対し攻撃を仕掛けるしかなくなる、果たしてこれが上手くいくのかが大問題になってくる。 その時に、やっとNATOから供与された戦車の出番になるが、それでことが済むはずがない。例えばテニスの心得のない人が、最高級のテニスラケットを手にしても、ハエ叩きにすらならないのである。そのためあの戦車供与の話がまとまっても、逆にNATOの足並みは、ますます揃わなくなってきている。その理由は戦車を供与したところで、そのことが戦線に与える影響はごく限られていると判断されたためだろう。 案の定、ウクライナからの次の要求は戦闘機だ何だと矢継ぎ早にエスカレートしてきた。それとは反対にNATOも最初は最新鋭戦車を約束していたが、今では退役寸前の戦車に変更されてしまっている。早い話がNATO各国ではウクライナ軍に戦車を運用できる能力はないという認識があるためだろう。それというのもヨーロッパの国で、まともな戦車戦の経験があるのはドイツとロシアしかない、そのドイツがこの戦争に最も尻込みしている状況なのだ。いかにこの戦闘に見込みがないかの表れだろう。 ここにきてとうとう、そのドイツで大規模な反戦デモが起こってしまった。この状況は次の似たような環境にある工業国にも飛び火するに違いない。なぜなら工業国でのエネルギーの枯渇は工業を停滞させるに決まっているからだ。せっかくGDPで日本を抜いたドイツで工業生産に停滞が起これば、すぐにドイツ経済は危険な衰退のループを辿ることになる。それは、EU全体の問題に発展することなのだ。 さてここで、改めてウクライナ情勢に目を向けてみると、この戦争でもっとも被害を受けているのは誰だろうか、もちろんウクライナ人には違いないが、その中でも現在最悪の環境に置かれているのは、親ロシア派のウクライナ人である。なぜなら、侵攻が始まって以来、この住民の居住地以外は、ほどんど戦闘が見られないからである。 ところが、この地域では侵攻が始まって早々住民投票が行われいる。結果はロシアへの帰属を望むというものであった。だとすれば、ロシアへの帰属はこの住民たっての願いであったということになる。そうであるならロシア軍の侵攻は、非人道的行為とは言い難くなって来はしないだろうか。 まして、民主主義とは、有権者が平等な立場で選挙権を行使することである、もし民主主義の危機というのであれば、少なくとも選挙が行われ、結果が出ていることを無かったことにすることはできない。しかもその時の投票率は90%を超えたそうだ。日本の国会議員の選挙における投票率は40%そこそこである。ということは住民が無理やり脅されて投票をしたという根拠にするには、あまりに多い投票率ではないだろうか。選挙を妨害するにしても、投票を無効にする妨害は出来ても、逆に投票率を上げる操作がどれほど困難なものか議員の方は理解できるのではないだろうか。 さてこのような状況で首相のウクライナ訪問を促すとすれば、その議員には何か一般人の目に見えないメリットが存在しているのだろうか、あるいはまったく戦争の情報が入らないかのいずれかではないだろうか、しかしながら情報が入らないというのは、かなり困ったことになる。それは国会議員は調査研究のための歳費を受け取っているからだ。しかも、秘書付きで調査研究が出来るのだから、一般人より情報に疎いはずがない。いずれにしろそれが何の国益になるのか、場合によっては国民に人道に悖る行為を促しているという誤解を与えかねない。そればかりではなくこの戦争が、核戦争に繋がりかねないことは極めて一般的な常識で、国民の代表として前言撤回では済まされない慎重さを要する。