今日は好日Vol.2
2023年 3月10日 3本の矢のどこへ行く
先ほど金融政策決定会合の終了後、日銀黒田総裁最後の記者会見が終わった。総裁に置かれましては、10年間大変お疲れさまでした。 今でも3本の矢による当時の、日本株の高騰ぶりは日本経済の復興を思わせる勢いがあった。おかげで日経平均は当時、誰も期待すらしていなかった3万円台を超えるまでになった。当然このままインフレが進み賃金上昇による景気循環が戻れば、当然日銀は金融緩和を終了し金利上昇もやむなしのところだったと思う。 ところが、現実は違った。株価やGDPではすこぶる好調な日本経済なのにも関わらず、日本人の実質賃金は伸びてこなかった。このことで国民一人当たりのGDPが伸びず、日本人の賃金は興進国と肩を並べるまでになってきた。そのため国内における物価上昇はインフレどころかデフレが続いている。ここに来てドル高による輸入品の高騰による物価上昇は見られたが、この状態が賃金上昇を促すインフレでないことは明らかだ。 もしこの状況で金利を上げるようなことをした場合、中小企業がほとんどを占める日本経済は完全に終わっていたに違いない。世界の中央銀行がわき目も振らず利上げに動いている中で、黒田総裁はゼロ金利を維持していた、そのことにより日本経済は何とか持ちこたえていたのではないだろうか。 経済記者は、この期に及んで黒田総裁に対しインフレ目標についての質問がされていた。私も高橋洋一氏や三橋貴明氏の動画を視聴しただけの知識ではあるが、経済学ではフィリップ曲線という理論があって、安定した雇用を維持するためには失業率と物価上昇率から導き出される最低限のラインが物価上昇率2%なのだそうだ。 つまり、経済を賃金上昇によるまともな景気循環にしていくためには、日銀だけのオペレーションでは不可能なのだ。私は先の記者会見で黒田総裁の見せた苦笑いからそんな思いを感じていた。 私は、マスコミが金利上昇を願うのは、どのような思いからなのか不思議でならない。金利上昇で喜ぶのは、運用嫌いの資産家か利鞘を当てにする金融機関か、とはいえどうして働き盛りの人間が利上げを期待するのか私には理解が出来ない。なにせ私の働き盛りのころは「家付きカー付きばばあ抜き」などという借金ありきの非常に不道徳な時代に暮らしていたからだ。 などと言いたくなるが世の中いろんな立場の人があられるので、不快に思われた方が居たらお許しいただきたい。