今日は好日Vol.2
2023年 3月12日 新世界
3月10日中東世界に新しい秩序が生まれそうだ、という驚くべきニュースが飛び込んできた。サウジアラビア王国とイランが外交関係を修復させるそうだ。つまりいつの間にかユーラシアのエネルギー供給国が一斉に手を握りだした状況になっている。もしここにロシアが加われば、どうなるだろうか世界はエネルギーの持てる国と持たざる国にハッキリ色分けされる。
この結果が日本やヨーロッパに及ぼす影響は計り知れない。これから始まるG7もUSドルが石油エネルギーを支配するという前提で成り立っているのだが、このニュースによればその前提は崩壊してしまう。特にロシアとの対立関係を深めるEUでは、その深刻さはいかばかりだろうか。
なぜなら製造業に頼る国が、電力の供給に不安を抱えていては国の発展は望めないからだ。ところがいままで、私の妄想でしかなかったこれらの懸念が、いよいよ現実のものとなりつつあるのだ。
しかも、EUにこれに対する選択を迷っている時間はない、先ほども述べたようにエネルギーが滞れば、その国の産業はすぐに停滞してしまうからだ。ではその選択肢で最も現実的なものはなにかとなれば、それは停戦と制裁解除しか残っていない。それではいったいこれに掛かるコストはどれほどかかるのか、それはこれから西側がこぞってモスクワを包囲殲滅するための機甲師団を組織する、などと妄想するよりは、何も無いに等しい。
ところでこのような西側の虫のいい提案を、今のロシアはすんなり受け入れるだろうか。現状のロシアはユーラシアにおける資源大国だ、しかもこれまでイランと友好関係にあるロシアは、今回のできごとで、サウジアラビア王国とも間接的に繋がりが出来たことになる。このことはエネルギー資源国同士が新たな世界秩序を作り上げようとしていることに他ならないからだ。
さてこの戦争の原因についてロシアの主張はウクライナのNATO加盟の意志にある、つまりNATOとの緩衝地帯としてウクライナがNATOに加盟することをロシアは一貫して反対してきたのである。それはミンスク合意にあったウクライナのNATO不参加がロシアにとってのレッドラインだったのではなかっただろうか、その主張に対し西側は、検討を試みるどころかロシアへの挑発を止めようとはしなかったのだ。少なくとも私の目に現在のウクライナ戦争はこの様に映っている。
さて、このような厳しい状況ではNATO側から一方的に停戦を持ちかけても、なかなかその進展は期待できないだろう。そこで、考えられるのが、ロシアを挟む東西2つの軍事的緩衝地帯を提案することだ。
というのは、西の緩衝地帯をウクライナだとすれば、東の緩衝地帯は日本になるということだ。
どういう事かといえば日本の武装中立化である。つまり、日本が改憲により武装中立国になることで、日米安保体制を破棄することなのである。このことでアメリカの軍事基地が日本からなくなれば、ロシアの軍事的メリットは計り知れない。
おりしも政府は防衛予算をGDPの2%に引き上げたばかりである。これほどの軍事予算を見込む国は正規軍を保有する国の中でも稀な存在である。
とはいえ、日本の食料やエネルギーを海上輸送に頼らなければならない現状では、日本人の生命を守るためには、輸送経路に接する国とは海上の安全を確保するための条約を結ぶ必要も出てくるだろう。このことをもってロシアに再びG8参加を呼び掛けることが、現在のIMF体制を維持させることに、希望が繋がるのではないだろうか。
資源を持たない国にとって、通貨の信頼性が国の存亡をきめることになる。残念ながら現在の日本は食料もエネルギーも海外に依存しているため、その危機から逃れることはできない。
とはいえ本来はそのエネルギー源を自国で調達することが、本当の国防になるのだが、現在のところ政府からそのような動きを感じ取ることはできない。