今日は好日Vol.2
2023年 5月1日 本当に怖い外貨建て国債
増え続ける国債残高に、日本は破綻するといわれ続けてきた。ところが国債残高がGDPの倍を超えても、いまだに日本経済が破綻するどころか、政府は海外への大盤振る舞を止めない、おかげで海外からのエネルギー供給が滞ることも、海外で邦人が危機にあっても救出に窮することもなかった。こんなことがなぜ可能になるかといえば、円が将来的にも安全な通貨だと世界中で信じられているからだ。
そのため日本の国債はほとんどの場合、満期になると払い戻しなしで新規の国債に切り替えられてきた。ところがいま政府が検討している外貨建て国債では、これまでとは様子がかなり違ってくる。というのも諸外国での現金の需要は常に変化していて、場合によっては、その払い戻しを政治的な圧力に使われることもありえるからだ。ひところアメリカ国債が中国によってもっとも買われていた時は、何かあるたびにきな臭い噂が聞こえてきた。
ところで、今回検討されている外貨建て国債はこれよりもさらに危険度が高い、というのも払い戻しが日本円ではなく外貨でおこなわれることになれば、払い戻しの際に、為替の影響を必ず受けるはずだ。気の回しすぎかもしれないが、その時点で日本円の価値が極端に下がれば、僅かな債務であっても日本経済が破綻する可能性は0とは言えなくなる。さらにいえば、債券購入を日本が海外に期待しなければならないとしたら、日銀の金融緩和政策にも大きな影響が及ぶことになるだろう、これまでのように金利について我が道を行くという態度はとれないのである。
さてこれまでデメリットばかり述べてしまったが、この視点は日本の国益という視点から述べたに過ぎない。悪意を持った表現にはなるが購入する側の別な視点で見れば、相手国を支配すとしたら、これほど戦略的に有効な方法もないかもしれない。ようするに日本経済の信用力を利用して自国通貨の流通量を増やすことが可能になる。しかも市場においては実体のない取引で合法的に市場を混乱させ、場合によっては一瞬にして相手国の経済を破綻に追い込むこともできるはずだ。
とこれほど外貨建ての国債というのはリスクが大きい、そうまでしてこのような国債発行をしなければならない国とは、よほど国の通貨が信用されない国なのではないだろうか。確かに、このような危険な国債発行前提で国の予算を検討されては国が滅びかねない、国債発行か増税か財源を選べと迫られれば増税しましょうと言いたくなる。