今日は好日Vol.2
2023年 5月6日 陰に潜むもの
いま世界中が戦争の恐怖に怯えている。戦争といえば真っ先に思い浮かぶのが尊い命が失われることだ。とはいえこれが今に始まったことではなく人類の歴史とは、まるで戦争の記録のようにさえ思える。それほど何度も繰り返されてきた戦争の中で、私はウクライナ戦争がその後の世界に与える影響は計り知れないものがあると思っている。
なぜならこのまま戦争を長引かせることは、核兵器が使われる可能性をさらに強めるばかりでなく、さらに可能性が高いことはこの戦争が世界におけるその後の経済パワーバラスをひっくり返すことになりかねないことだ。例えばこの戦争の影響を最も強く受けているヨーロッパでは、ロシアからのエネルギー供給が断たれ物価の高騰を引き起こした、そのため急激なインフレから金利上昇が起こっている。この金利上昇は積極運用のできない資産家にとっては嬉しいことかもしれないが、景気を冷やすための誘導であるため当然起業家や給与生活者にとって歓迎できるものではない。この流れが続けばヨーロッパの製造業はどれほど深刻な影響を受けるのだろうかと思いきや、不思議なことに現在のヨーロッパの株価指数は高値がつづき金融機関の不安などなかったかのようだ。つまりお金の世界は理屈が通らない特殊な世界のように感じる、確かに騒ぎの元となった銀行破綻の原因を聞くとまったくあきれてしまうのだ。これでは個人の運用など一筋縄でいかないはずだ。
とはいえ、この戦争によってG7はエネルギー保有国のロシアと距離を置くことになってしまった事実は変わらない、おまけにスーダンの内戦で西側各国はアフリカからの撤退を余儀なくされ、中東との距離をさらに広げることになった。このことがさらに深刻なのはこれまで基軸通貨の根拠とされていたエネルギー資源の覇権をアメリカがこの戦争で失ってしまったことだ。その証拠に中東は元での原油取引を認めたそうだ。
この影響が世界一アメリカ国債を保有する日本に無いわけがない、価値あるうちに戦略的な投資が出来なければ日本に未来はないのではないだろうか。
このままこの状態が進めば、資源を保有し巨大なマーケットを持つグループと、資源は持たないが、小さなマーケットで価値を失った通貨を狂ったほど保有するグループに分かれてしまうのではないだろうか。G7からアメリカを除くとこの悲惨さがよくわかる、我を忘れて逃げ出したくなる気持ちもわかるが、ここは冷静にロシアとの対話を進めるべきではないだろうか。用無しの主要国と言われないために。