令和 あくび指南
2024年 4月4日 テレビの顔
人は実体がどうあれ、周りの様子を勝手に目印にして暮らしている。そのことをよく感じるのが自動車の門型洗車機で自分は動いていないにもかかわらず、大きなブラシが前後に動くだけで、まるで自分がトンネルを潜り抜けたような気になる。私はテレビ番組をこのような生活の目印にしていたのかもしれない。なかでも土曜の晩、明日は休みだと思いながら眺めていた世界ふしぎ発見が終了になり、食事が終わったひと時に放送された「徹子の部屋」も今回で終了となった。きっと新しい番組が次々その時間を埋めていくのだと思うが、今回は私にとっての大きな時代の節目を感じている。
とはいえ近頃の私は、正直次々登場するタレントさんの名前が覚えられない。特に音楽番組では浦島太郎の悲哀を感じている。以前から諸先輩方から、今のタレントには個性がないとか、みんな一緒に見えるなど、散々聞かされてきていた。そんな言葉を聞くと哀れにすら感じていたが、私も最近はそんな言葉に共感が持てるようになってしまったのだ。
因みに日曜の夕方放送されている人気番組笑点でも、林家木久扇氏が3月一杯で卒業となった。笑点はこれからも続くのだが、とはいえ私の心には寂しさという風が吹いている。というのも笑点といえば私のスタンダードなイメージでは、司会はいまだに三波伸介氏で、この時代のレギュラーメンバーといえば桂歌丸氏に続き三遊亭圓窓氏、五代目円楽氏は当事よほどもてていたのか自分を星の王子様になぞらえていた。そしておねぇを思わせる気取ったしぐさの小円遊氏は、なぜか歌丸氏とは犬猿の仲だった、ところが氏が急逝されると歌丸氏は寂しさが隠せないようで切なかった。その次に控える新潟県人会の林家こん平は、ちゃら~んで始まる佐渡おけさがトレードマークでこの紹介だけでも大喜利は賑やいだ。ということでここまで紹介したスッタフは全員すでに笑点を去っている。そして今回林家木久蔵氏の卒業をもって私の印象にある笑点は完全に姿を消すことになってしまった。因みに今回卒業となる林家木久扇氏は司会の紹介でカメラに映ると、必ず名優片岡千恵蔵氏のものまねをしていた。時には頭に頭巾をかぶり鞍馬天狗のものまねで「杉作、日本の夜明けは近い」と言ったり、大石内蔵助のものまねで始まる「おのうの方」というセリフもいまだに頭から離れない。
ところでこの大喜利の紹介はここでは終わらない。必ず座布団運びの紹介がこの後に続く、ところがこのキャラクターが意外に印象深いのだ。というのも私が思い浮かべる司会は三波伸介氏なのだが、座布団運びのキャラを思い浮かべるとなぜか、毒蝮三太夫氏になる。このことをウェキペディアで確認してみると、毒蝮氏が出演していた頃の司会は立川談志氏で、なんと私の印象のままでは実際の時系列とは合わない、因みにこの時の司会は立川談志氏が務めている。ということは子供の目には落語の名人もウルトラマンには敵わなっかったということなのだろうか、もしウルトラマンに立ち向かえる噺家がいるとすれば、今のところ三遊亭 圓丈氏しか思い浮かばない。
4月7日の笑点には林家木久扇氏が再登場される、おかわり!ということなのか。