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令和 あくび指南

2024年10月22日gallery,ようこそ

2024年 10月20日 喫茶店

先日散歩に出かけた途中、久しぶりに喫茶店に入った。そこは函館八幡宮の参道に面したクラシックというお店だ。とはいえ偶然訪れたというより私はこれまで何度も訪れたいと思いながらも、その切っ掛けを失ってしまうという不思議な店だった。

そもそも私がこの店の存在に気付いたのは、平松麻氏という画家の展覧会に偶然出くわしたのが切っ掛けだった。

この時も何の気なしに店を覗いていると、それに気付いた店主が外まで出てきて、店の向かいにあるギャラーのチラシを渡してくれた。私には初めって知る作家さんだったが、結局そのまま作家の持つ絵の世界に引き込まれてしまって、気づくとそのまま家路についていた。

その時はすぐまたこの店を訪れる機会もあるだろうと思っていたが、あっという間に1年の歳月が過ぎてしまった。

そんなわけで私は、ようやくこの日初めて店内に入ることが出来た。そこには骨董と書籍が品良くディスプレーされていたが、そこで私の受けたこの店の印象は、ここに展示さている骨董のもつ時代そのものを店全体で表現しているのではないかという印象だ。というのも私が案内されたテーブルの壁には昔懐かしいガラス張りの引き戸がパステルカラーに彩色され何気なく埋め込まれていた。その前に座っていると子供の頃の暮らしが何の抵抗もなく今の時間と重なってくるのだ。

私は調子に乗って注意深く周りを見回していると小さな書棚に、風の谷のナウシカのコミックを見つけた。それは全7巻揃っていて実際に手に取ることが出来た。実際それを手に取ってみるとコミックには僅かながら湿り気があり、当時のインクや紙の持つ懐かしい臭いがした。それにより今流行りの軽い装丁のコミックとは別の時間を旅してきたことが分かる。調べてみるとこの本の初版は1982年なので、この本が何回目の印刷かは確認しなかったが、40年という時間の流れがありこの本が印刷された当時、現在のように世界中で宮崎駿ファンが溢れていることを誰が想像できただろうか。

そんなことを思いながらコミックを眺めていると薫り高いコーヒーとこの店の人気商品プリンが運ばれてきた。このプリンは少し硬めの生地で、ちょうどスペインのお菓子カタラーナに近い食感がある、さらにこのプリンに添えられるほろ苦いカラメルとその場で泡立てられた濃厚な生クリームはこのプリンの多様な味の変化を楽しませてくれるのだ。ここから垣間見る世界は、この店の素朴な盛り付けにも表れているようにかつての時代を運ぶ心憎い演出のようでもある。

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Posted by makotoazuma