新日本を護るために
2025年 1月16日 鯉の滝登り
最近経済番組を視ても何を言っているのか飲み込めないことが増えてきた。例えば新興国から資金の流出が続いているという話題、或いはドル高が進みそうだという話題についてだが、これらの現象は、マーケットがトランプ政権への懸念を抱いているため引き起こされているという説明だ。私はこれまでの経験上、水は高い所から低い所に向かって流れるものだと思っていたのだが、どうやら今の経済はそんな単純な動きでは説明がつかないらしい。というのも常識的にいって、お金というものは、これから景気の動向が心配される国に向かって流れるものだろうか。今日まで私が常識と思ってきた世界では、そんな心配のある国からお金は、逆に逃げ出してしまうのではないかと思うのだ。要するに私には、マーケットの動きはトランプ政権に期待してアメリカに向かって流れているようにしか見えないので、これが間違いであれば、これではまるで鯉の滝登りのようなものなのである。
しかも、この現象は利下げ傾向にあるアメリカで起こっている現象で、結局為替の動きは、まともな政治が期待できる国には、金利がどうこう言う前にお金は勝手に集まりだすと言う事だろう。さてマーケットの期待が集まるアメリカ経済に対し日本経済はと言うと、今のところ超好景気の状態と言って差し支えない。ところが残念なことに、ほとんどの日本人がこの恩恵に与かれず、むしろキャベツすら買えない懐具合にある。私もこれまほどの経済的閉塞感を感じたことがない、何しろ周りで盛んにお金を使っているのは外国人ばかりのように見えるからだ。
ところが、これほど危機的状況でありながら与野党連合の回答は非課税上限を123万円にすることで合意をみようとしている。ちなみに、これがどれほど国民の手取りを増やすことに繋がるのかといえば、これがまた非常に分かりにくい、というのも言い出しっぺの国民民主党のHPにすら178万円の内訳は、はっきりと示されていないのだ。しかも123万円の内訳についても、自民党の草案によると給与控除65万円と基礎控除58万円あわせて123万円だと書かれていた。ところが給与控除65万円は収入により累進的に決まる控除で、この数字は200万円以下の最低ランクの給与に対する控除額だ。つまり、おおかたのサラリーマンが恩恵を受けられるものではないのである。あわせて引き上げを検討されている基礎控除の方は現行の48万円に10万円の上乗せをすると言う案だが、実際所得の計算になれば10万円掛ける税率分と言う事に成り、月に直せばこれで、国民の購買意欲は湧いてくるのだろうか。
因みに減税の話題に加え、年金や健康保険などさまざまな見直しが議論されているところだが、要するに今のままでは原資が持たないと言いたいらしい。それではどれほど年金の資金は厳しいのかと思い、これを運用しているGPIFの状況を覗いてみてまた驚いてしまった。なんと2024年のGPIFの運用実績はおおよそ153兆円で過去最高額になっている、しかも2022年からのたった2年で運用実績が40兆円ほど増えたというのだ。これを保険料で賄うと恐らく大半のサラリーマンは給与がもらえなかったのではないだろうか。
とはいえこれも憎き円安のお陰なのだが、マスコミは円安の悪影響を強調するばかりでその解消のためには利上げが必要などとニコニコ顔で言いだす始末だ。とはいえ円安が悪影響を及ぼしているのは石油や原材料の輸入コストで、早い話がこれだけ安く調達できるルートがあれば円安悪のステレオにはならないはずだ。とはいえ話はもっと深刻で、円安の悪影響をもろに受けているのが農家や零細国内向け製造業で、円安悪に釣られて金利が上がってしまえば1番そのあおりを受けるのも瀕死の状態にあるこの層なのだ。
しかもこの層がダメージを受ければ、その上に乗っかる層も無事ではいられないのはあきらかで、このことはあてずっぽうで言っているのではなく、EU主要国のたどった道がまさにこの道なのである。今、日本経済がかろうじて体裁を保てているのも、これまで日銀の動きがEUとは一線を隔していただけにすぎないのだ。
さて好景気にあるにもかかわらず、その恩恵をほとんどの日本国民が受けることなく過ごしてきたのは、とりもなおさず政治のお陰である。そのいい例が、あれほど解決の見込みが立たないと言われていたイスラエルのガザ地区で今回ようやく停戦の合意が結ばれた。そしてウクライナでも最近停戦の話題が活発になっている。この理由についてはいろいろ意見があるようだが、私が感じている最も大きな要因はトランプ政権の誕生である。つまりこれまで想像することすら難しかった和平が、アメリカ一国の大統領によりもたらされるのだ。逆に言えばこれまでの体制では、戦争が治まることなど想像すらできなかったと言う事だろう。
ところで恐ろしいことに、これほど世界が変わろうとしている只中で、日本の政治は、いまだにEUの向かってきた亡国の道を辿ろうとしている。しかもその迷走は経済や財政の問題にとどまらず国民の命を直接左右する国防の面でも危機的状況にある。というのも岸田政権時代に創られた防衛力整備計画では中国を名指しで仮想敵国としておきながら日本の外務大臣が、その仮想敵国と癒着しているとう深刻な話題が配信されている。このことは山口インテリジェンスアイという動画によるものだが、内容が事実であれば、たんなる汚職事件では済まないだろう。というのもこの外務大臣は以前、日本の防衛大臣を務めた方でつまり国防機密の中心にいた方だ。そんなお方が仮想敵国と通じていたとなれば任命責任は無論の事、内閣としての不信任は免れるはずがないのではないだろうか。