今昔問答
2025年 6月29日 国防を考える
はじめにこのようなテーマを選べば嫌われに決まっている。とはいえあえてこのテーマを選んだのは国防と増税はイコールというとんでもないTV番組を目にして今朝も不快極まりない。そうは言っても軍事費を増やせばその財源を求めるのは当然と思われるのだが、そもそも軍事費を上げなければならない環境にしたのは誰れなんだと思うとさらに腹立たしい思いになる。
さてこのような番組が組まれたのは現在のNATOにおける各国の負担をそれぞれの国が5%負担するというアメリカ案をNATO各国が受け入れたことによる。そうであればれば当然日本もこれに準じる予算を組むべきだというのがこの番組の出演者の主張で、そのもっともらしい口調にすっかり唆されてしまう。しかしながらこの議論の前提になっているのは、日本の力だけでは自国を守ることが出来ないという日米安保ありきの議論なのだ。私はこの80年にも及ぶ妄想が常識という概念を捻じ曲げてしまったと思っている。つまりアメリカが何故自国民を犠牲にしてまで日本を護らなければならないのかという疑問がここにはないのだ。しかも現在のアメリカ大統領はアメリカファーストというテーマを掲げ、世界中を周って戦争の火種を消して回っている最中なのだが、この番組にはその視点がまるでない。
番組で繰り返されるのは日本だけでは日本は守れないという繰り返しだ。ようするにこの番組ではNATOに日本が参加することが日本に平和をもたらすとでも言いたいのだろう。しかしながらこの会議が始まる前のNATOやEUの行動を見れば、日本に平和がもたらされると信じられるだろうか。というのも彼らはウクライナの徹底抗戦を呼びかけ、ロシアに対する長距離ミサイル攻撃やドローン攻撃を積極的に促していた。このままでは第3次世界大戦待ったなしのところで、今回のイスラエルによるイラン空爆が始まったのだ。つまり今日本がNATOに参加するというのは、いつでも日本がこの危機に巻き込まれることを意味している。何を隠そう西側の技術ではすでに回避不能なロシアの核ミサイルに日本は今も狙われているのだ。というのも前岸田政権下で日本はNATOに足並みを揃え経済制裁に及んだ挙句、防空用兵器までウクライナに輸出してしまったからだ。あれからどれくらいの時間が経ち双方どれだけの命が犠牲にってしまったのか、この戦争を継続することが、暴力による現状変更を認めないことだとする人達に聞いてみたい、その思いが叶うには後どれほどの犠牲が必要になるのか。こんなことは一般公開されている戦況図を見れば簡単に理解することが出来るはずだが、そんなことはお構いなしのようだ。というのもこの地図ではウクライナの首都周辺までロシア軍は迫っていて、クルスクに侵攻したウクライナの精鋭部隊もすっかり包囲された状態のようだ。この状態を西側の報道は伏せて、ドローン攻撃により爆撃機が何機破壊されたとか武器庫が破壊されたとかまるで勝利が近いかのような報道をしている。
要するにこのような危機は誰が招いたのかといえば、政治が招いたと言う事なので、このような話題を放送するのであれば、これと対峙する立場の意見も同時に放送してしかるべきだるう。ところで、そもそも軍事費を膨らませることが国の安全に繋がるのだろうか。私は独立国として日本はその前にしなければならないことが山ほどあると思っている。それが武力の保持や交戦権を否定する憲法問題なのだが、この番組でも法律の専門家と思しき人がこの点にはまったく触れてこない。この状態で反撃能力だ長距離ミサイルだと騒ぐのは、ポッケットに鍵を掛けられたドラえもんに命を預けるようなものだ。
変な例えになってしまったが、暴力というリングの上では、強い相手にはのび太君かスネ夫の立場をとるのが常識だ。そうでなければ気を失うまで叩きのめされるに違いない。ところが、嘗ての日本人は相手がどれほど強くてもこれに怯むことがなかった。残念ながらその類まれな精神性は、このように無責任な報道番組により内部から崩壊させられようとしている。
つまり、戦略すら自力で立てられない国が、使うことさへ躊躇される武器を購入して、そのための費用を増税で賄うことに納得できないのは、国民の見識が狂っているというのだ。おそらくTVの中の彼らには、300万円の年収で生活を維持するという現実が理解できていないのだろう。しかも日本はこの世代に日本の将来を託しているにも拘らずだ。これでは武器の購入で日本に平和がもたらされるというより前に、あと10年も黙っていれば、日本はこのまま自然と国力が衰え、彼らのプライドは廃れてしまい、ついにはだまって奴隷のように働いてくれることになると考えないだろうか。
何を言いたいかといえば、今日本が即刻取り組まなければならないのは、無駄な支出を減らしその分を国民全体に還元して一刻も早く日本経済を立て直すことだ。なぜなら日本で最も貴重なのは日本人そのものだ。