思考ラボ
「空と色を探してみた」
今日は、久しぶりの思考実験です。空と色といえば般若心経の中に出てくるあれです。むかし、僧侶に扮した田中邦衛さんがバスの車内で見かけた美人につい目を奪われてしまい、あわてて目を閉じながら「色即是空」と呟いていました。一瞬でも色に囚われてしまった自分をあわてて戒めている、そんなユーモアたっぷりのCMがありました。
そこでは現象世界に心を奪われている自分を色即是空と言って戒めているようにも見えましたが、はたしてこの言葉は、現象世界の虚しさについて語った言葉なのでしょうか。
という疑問が湧いて、それぞれの実態を思考の中で探してみました。
結論から先に言えばどちらにも辿り着くことは出来ませんでした。
もし色を現象世界と定義すると空はその対極を表します。では現象世界の実態とはいったいどのようなことなのでしょうか。
私は人間が実態と捉えることが出来るすべてを色とすれば、空は人間が実態として捉えることのできない世界すべてを空であると思っています。つまり色は人間が認識できる限界であり、その対極である空も人間の認識の限界によって決まってしまいます。
ということは、いずれの実態も人間の知覚による限界がその世界の限界になってしまうのではないでしょうか。
そのように考えると、色や空の実態はあまりにも小さな世界のように感じてしまいます。もしそうであるならば人間のようなちっぽけな存在の認識を超えた世界なんて、いくらでも実在しているのではないか。結局私は、そんな思考ループに囚われてしまいます。悲しいことに、このような堂々巡りを無限地獄と言うのです。