2023年 文明に託された歌
私にとって人間は良くも悪くも服を着た歴史ではないかと思っている。だからと言って歴史の学問をしなければ人間じゃないといっているのではない。人間の今の在りようは、意識しようがしまいが時間で繋がれた歴史の結果なのだ。
とはいえそれを好ましいと思う人も、呪わしく思う人もその結果についての評価はまさに今の自分に掛かっているのではないだろうか。最近の流行りに親ガチャという言葉があるそうだが、この言葉も太古の昔から良い星の元とか、カルマなどと言われて物心がつくと、いちいち自分の境遇について評価したくなるものだ、それにしても生まれてすぐに生存競争の嵐にさらされるものもあれば、生きているのか死んでいるのか、気が付かないほど恵まれた環境に育つ方もいるのだ。がしかし、人間はたとえどのような環境に生まれたとしても、この「人生とは何か」という問いから逃れることは出来ないのではないだろうか。
私はこのような意識の集合体が文明を作るのだと思っている。なので、文明は人類がこの答えを見出すまで、その歴史を引き継ぐ者たちにこの問いを投げかけてくる、私はこの問いこそすべての文明に託された歌ではないかと思っている。