今日は好日
2022年 4月4日 ハーメルンの笛吹き男
グリム童話にあった物語ですが、大人が聞いてもぞっとする話です。ある日ハーメルンの街で大繁殖したネズミを笛吹き男が川へ誘導して街を救ったそうです。ところが男が期待した報酬が支払われなかったために、今度は街中の子供たちを誘導して洞穴の中に消えてしまった、というなんとも後味が悪い童話です。この童話が伝える教訓は契約の大切さということでしょうか。北欧神話でも神々の長ボータンが小人族との契約を守らなかったために世界を滅ぼすという神話がありました。西洋では契約は神々でさえ従わなければならない存在です。人間社会の規範はそこに在るようです。
ところで、ねずみが大繁殖して移動することは、笛吹き男がいなくても起こることのようです。鼠以外にもアメリカ大陸でのバッファローの大移動やアフリカ大陸でのヌーの大移動など食料を求めて命を懸けた大移動が太古から繰り返されているようです。では一体どのような仕組みで食料のある新天地を動物の集団は目指すのでしょうか。
当然笛吹き男のような存在は居ないので、経験のある個体が移動の時期を決め、進むべき道を決めていることのなります。道すがら食料にありつければよいのですが、食料どころか水を確保するあてがあるのでしょうか人間からしてみると無謀な行為にさえ見えます。
ところがこのような動物の習性は何万年もの時間その動物たちを繁栄させてきました。地図やカレンダーを持たない生き物が説明のつかない自分たちの感覚だけをたよって命を繋いでいます。その反対に私たちは、知識や道具を手に入れましたが、己を生かすことに執着しすぎて周りを顧みません。また大いなる流れに対しても懐疑的です。
己とは弾けることが決まった儚い存在です。その儚い存在が大いなる流れを道ずれにしようとしています。夢は儚い夢ほど美しい。