今日は好日Vol.2
2023年 8月20日 らんまんの繋がり
この写真はウェキペディアにあった写真で、もとはアメリカテキサスにあるキンベル美術館の所蔵品なのだそうだ。この像は何がモチーフかといえば、修験道の開祖役行者(えんのぎょうじゃ)役小角(えんのおづ)なのだ。つまり日本の山岳信仰と仏教を融合させた山伏の開祖である。
この偉い方と私のブログがどう関わるかといえば、このブログにある独立自尊奥の細道の7ページ旅の首途で取り上げさせてもらっているからだ。ここでは当然芭蕉が訪れた寺と山伏の関係を説明するために役行者について触れさせてもらった。そのなかでNHKの人形劇南総里見八犬伝にこの役行者が繋がることを紹介していたのだ。さて、この八犬伝の筆者が曲亭馬琴という江戸の戯作者だった。もっとも私が習ったのは滝沢馬琴と言っていた。
その曲亭馬琴を紹介するTBSのTHE歴史列伝という教育番組で、六平(ムサカ)直政氏がその司会者を勤めておられた。番組では曲亭馬琴がお家再興にかけた執念と、南総里見八犬伝の完成のためには死んだ息子の嫁の手まで借りて、やっと完成させるという壮絶なドラマを紹介していた。ところで私は偶然その番組の再放送に出くわしていたが、先週らんまんという朝ドラに、いきなりこの六平直政氏が借金取りの役で登場してきた。
場面は植物図鑑を自費で出版しなければならない牧野万太郎(神木隆之介)は借金で何とかその生活を遣り繰りしている。そしてその支えとなっているのが妻の寿恵(浜辺美和)だ、そんな寿恵は借金取りとの厳しい交渉をその矢面に立って仕切っていく。番組のこの妻は六平演じる借金取りを前に、借金返済の猶予を願うばかりでなく、植物図鑑発刊のためさらなる融資を持ち掛ける。六平直政といえば登場するだけでドラマの展開が読めるほどの強面だ、その借金取りを手玉に取る寿恵の様子は痛快としか言いようがない。ところで、この妻には一風変わった趣味がある。それが無類の読書好きなのだ、中でも特にお気に入りなのが曲亭馬琴の南総里見八犬伝だ。
ということは借金取りを演じる六平直政にとって今から8年も前に自分の番組で紹介した曲亭馬琴と、ドラマ上ではあるがその作品をこよなく愛する女性との出会いが、先週の朝ドラで起こっていた。とはいえこの不思議な出会いに、どれほど世間様の理解があるのかと思い、老婆心ながら今日の記事に取り上げてしまった。それほど今の私はこのドラマに他人事とは思えない特別な思いを感じているのだ。
このことからもやはり物事には、今の自分の肉体を超えた何らか意思が作用しているように感じてならない。