令和 あくび指南
2024年 5月25日 やっぱり五稜星を追う
今函館は、アニメ映画の聖地巡礼で沸き返っている。そしてこの映画のタイトルにある五稜とは現在の五稜郭公園で、私が訪れようとした道立函館美術館はちょうどその真向かいにある。現在この美術館では熊谷幸太郎と間瀬潜という函館に因んだ二人の写真作品が展示されている。
面白いのは、写真という同じジャンルでありながら二人の視線がまるで違う所だろう、とくに間瀬氏のバルビゾン画家を思わせる画面構成は圧巻だ。とはいえその後台頭してくる奈良原一高氏の自由な表現を目の当たりにして、新たな表現の台頭に間瀬氏の心境は複雑だったかもしれない。
ところでこの展覧会では写真のネガやAIによるカラー化という新しい展示の試みがふんだんに盛り込まれている。とくにデジタルカメラが普及した現在、一般の人が現像されたネガフィルムを目にする機会は少ないかもしれない、展示棚には蛍光管が取り付けられているので、展示台にあるボタンを押して色や形が反転した世界を楽しむことが出来る。
また、今回は常設の展示室でも画期的な展示がされていた。あの著名な画家と丹下左膳100万両の壺を書いた作者が兄弟だったなんて驚いてしまう。これに因んで、もし丹下左膳の聖地巡礼が函館であったとすれば丹下左膳のマッピング電車が街中を走るのだろうか、抜身の刀を肩に置く大河内伝次郎電車、想像するだけでもちょっとグロい。