令和 あくび指南
2024年 9月4日 ICCって何?
同じ言葉をしょっちゅう耳にしていると、いつの間にかその言葉をすっかり理解しているつもりになることがある。恥ずかしい話だが私も国際刑事裁判所について何も理解していなかったことに今日初めて気付かされた。というのも読売新聞オンラインの記事によると、ここの検察トップがアメリカからの圧力により自立性が保てないとインタビューで溢していたというのだ。記事によると現在ガザ地区への行き過ぎた攻撃によるイスラエル首相らの戦争犯罪に対し逮捕状を請求しているのだそうだ。そういえばロシア大統領もこのような状況におかれ、先日訪問したモンゴルでモンゴル政府はどのような対応を取るのか注目されていた。結果については何事も起こらなかったということになる。つまり現状でもすでに実効性は極めて乏しい状態にあるらしい。これでは困るというのが記事の内容なのだが、私はここではじめてこの組織についての概要について理解することが出来たのだ。
酷い話だが、以前私はロシア大統領がウクライナから子供たちが連れ出されたことで、この組織から逮捕状が出されたことに対し一方的すぎるのではないかという記事を書いたことがある。とはいえ、その時はこの組織について理解が出来ていなかった。
今回私が知り得た情報は、この組織は1998年にローマで開かれた国際連合全権外交使節会議によるICC条約締結国の組織ということだ。当然条約に批准しない国で条約は機能しない。そして現在ロシア、ウクライナ両国ともこれに批准していない。またイスラエル、アメリカも組織の立ち上げには参加を表明していたものの結局条約は締結されなかった。このような状況でようやく条約締結国であるモンゴルに逮捕状の出されているロシア大統領が訪問することを受け、その対応について世界は注目していたのだ。
さてこの組織の問題は、そもそも戦争犯罪という定義にあるのではないだろうか、さらにこれを戦争の勝敗の見えない状況で取り締まろうというところに無理があるのではないだろうか。つまり、戦争には国家間同士の外交という側面があり、そのため何が戦争犯罪にたるかはかなり大きなハードルになる。というのもハーグ陸戦条約に謳われている、非戦闘員への攻撃についてこれを戦争犯罪だとすれば、これまでの都市攻撃はすべて戦争犯罪ということになり、そうなれば明確に攻撃目標を特定することの出来ない無差別殺戮兵器などの使用は、さらに悪質な戦争犯罪行為ということになる。
しかもこの条約の難しいところは、戦争当事国の責任を問うのではなく、戦争責任を個人が負うことになるからだ。これを間違いとすることは出来ないが、かえって事態を長引かせ現在の戦争終結を遅らせることになっているのではないだろうか。それよりも戦争継続の意思を必ず国民に問う機会を与えるよう、選挙期間における停戦を強制できる仕組みを考えた方が良いのではないだろうか。
ところでこの記事で私が最も驚いたのは、この組織の最も大きなスポンサーが日本だということだ。なので訴えによると日本が率先して、この実効性を高めて欲しいというのだが、一国民としてはもう一度出発点に戻り戦争犯罪の定義を厳密に考える必要があるのではないだろうか。