新日本を護るために
2025年 12月27日 インフレ
今巷にはこれからの日米関係について様々な意見が飛び交っている。中にはこれから円安が加速するという意見もあるようだ、驚いて記事を読むとトランプ氏の関税引き上げと大幅減税によってアメリカの財政赤字は拡大しFRBはそのため今後利上げに向かうはずだという。
私の認識とは真逆のシナリオなのだ、因みにこの記事は東洋経済のニューヨーク在特約記者によるとあった。私がこの記事で特に大きな違和感を感じたのは財政赤字拡大という部分だ。たしかに大幅減税は歳入を減らす可能性があるのだが、逆に関税を高めると言う事は勿論歳入を増やすことになる。次期政権では、これにより財政の帳尻を合わせてくるに違いない。さらに日本のマスコミでもすでに報道されていることだが、先月トランプ次期大統領は政府効率化省を設立し、そのトップにイーロンマスク氏が起用されるというのだ。イーロンマスク氏といえばTwitter社買収後あっという間にとんでもない人数のリストラが行われたことで有名だ。このような方が政権の中枢にいれば日本の政治のように、言っていることとやっていることが真逆に動くことはないのだと思う。
要するにこの記事にある政権交代によってインフレに繋がるストーリーが見えてこないのだ。とはいえこの記事には様々な経済用語が使われ筆者は経済にはそうとうな見識をお持ちの方だとわかる。だとすればこの記者はこのようなことを重々承知の上で記事を書かれているのだろう。ところがこの記事の結びはもっとありえない結びになっている。参考までにその部分を切り取ってみると「円安によって日本経済が低迷し、日本の輸出企業の競争力が低下しているからだ。円安は日本の家計を犠牲にして輸出企業に利益をもたらす。金融政策でこの問題を解決することはほぼ不可能だ。」とある。
さて円安によって日本経済は低迷したというお言葉だが、この言葉は経済などには疎い一般人なら許される文章かもしれないが、この点についてNHKニュースによると「財務省が3日発表した昨年度の一般会計の決算の概要によりますと、税収は72兆761億円で2年連続で70兆円を超えました。」とある。景気低迷の国が税収だけ増えるとはありえない話で、この発表によれば財政赤字どころか、税収が予想より3兆円ほど増えてしまったと言っているのだ。
しかもこの記事にもあるように「円安は日本の家計を犠牲にして輸出企業に利益をもたらす」と書かれているが、正確には輸出企業がいくら利益を出しても庶民にその利益は周ってこないと言う事で、ましてや金利が上がらないから庶民の生活が苦しいというのは言いがかりにも近い言い草だろう。私はこのようなことも言論や表現の自由に当たるものだとは思うが、やはり公の目に触れるものであれば、社会や肩書に筆者は責任を持つべきだと思う。
ところで最初に問題提起されたインフレについてなのだが、経済指標としては物価上昇=インフレと見られる。しかしながら実質の物価、特に輸入物価の上昇は国としての景気循環には外部因子でしかない、このため単純に物価上昇は賃金上昇(購買意欲の上昇)という相関関係では収まらないのだ。というのもそもそもインフレ率2%の目標というのは、国内の雇用安定を目指すための指標なのである。そのため日銀が日頃、物価上昇について慎重になるのはこのような背景がある。
それではなぜ私がこれからアメリカの政策によって円高になると考えるかなのだが、一般的に通貨安は貿易黒字に繋がるものと認識されている。このため国単位で日本は円安により空前絶後の黒字を増やしている状態と見られている。と言う事はアメリカファーストの政策を掲げるトランプ次期政権は日本政府に対しこの点で何らかの譲歩を求めてくるに違いない。ハッキリ言ってもっとアメリカ製品を買いましょうと言う事に成りる。この時日本国民がお金を持っていなければ、どれほどアメリカ製品が欲しくても叶わぬ夢となってしまうのではないだろうか。或いはアメリカ国債をもっと買いませんか、と言う事に成るかもしれない。
さて我々一般市民が忘れてならないのは、関税についてはその時の政権によって自由に決められることと、日本はアメリカ国債の最大の保有国であり、或いはまた自国の防衛もアメリカに依存している状態にあるということなのである。そうだとすれば今後アメリカの政策と歩調を合わせ、平和への取り組みと経済の発展について話し合い協力関係を強めていくしかない。