新 思考ラボ
2025年 1月20日 フィリップ曲線
経済など学んだこともない人間がこのようなことを言うのは、むしろ恥ずかしい思いになるのだが、経済の専門家でありながら、現状の日本経済にとって利上げが良い影響を与えるかのような発言は如何なものかと思う。
因みにこのフィリップ曲線というものは、縦軸にインフレ率、横軸に失業率を取ることでこれらの相関関係をグラフに表したものだ。実際このグラフを見ればインフレになると失業率は下がり、逆にデフレに向かうほど失業率は急激に高くなるという綺麗な反比例のグラフになっている。これを見ればインフレを抑制すると言う事は失業率を上げる方向に経済を誘導する事に成ってしまわないだろうか。
それでは急激な円安が進むここ最近の、日本における求人状況を見るとやはりセオリー通りで円安が進むここ最近は失業者が減り、求人倍率も増えているのだ。
資料出所総務省統計局 「労働力調査」
厚生労働省「職業安定業務統計」
要するにこれを見ても日本の雇用にとって円安は良い影響を与えていると言ってよい。とはいえこのまま物価高が進めば、物価スライドが廃止された年金生活者にとって物価高騰による生活苦に繋がる。これではあちらを立てれば、こちらが立たずというジレンマのようだ。ではどちらが優先度が高いかを冷静に考えてみれば、当然のこととして雇用を優先しなければ年金の未来もないのだ。というのも、そもそも年金制度は現役世代が受給者を支える保険制度なので、掛け金を払ってくれる人がいなければ制度そのものが成立しないことになる。
とはいえ識者の中にはこのまま円安が進みインフレが加速すると、いずれ日本がハイパーインフレに陥ることを心配される方が居られるようだ。確かにその確率はないとは言い切れないが、現代のお金の価値はすべてが信用で成り立っているのであれば、円の価値がなくなるかどうかは、それを必要とする日本人がいるかいないか次第になるのではないだろうか。つまり自給自足で完結するコミュニティーが出来れば、通貨の価値が失われてしまうことは極めて考えずらい。逆にコアな通貨コミュニティーを持たないグローバル経済では通貨の価値も他国次第という事になる。このようなことから現在日本経済に必要なことは、目先の利上げではなく、国を挙げて日本中くまなく円を行わたらせ国民生活に安心をもたらし、日本中の企業を活性化させることではないだろうか。加えて世界に先駆け革新的なエネルギー産業モデルが日本に誕生すれば、いよいよ自己完結する経済圏が出来上がる。それを基に農業や半導体、自動車産業、造船技術など為替に左右されない強固なサプライチェーンを構築することが可能になるだろう。日本の未来は自分の内側をしっかり見つめ直すところから始まる。