今日のできごと
2021年 8月9日 祭りの後
とうとうオリンピックも終わり、「心にポッカリ穴が開いたような」寂しさを感じている方も多いのだと思います。これほど困難で味わい深いオリンピックもそう経験できることではなかったのだと思います。
ところで楽しければ楽しいほどそれを失った時の所在の無さは、今に始まった感情ではないと思いますが、そのような感性を積極的に受け入れようとする社会は世界的にみるとかなり特殊な社会のようです。
たとえば、フランス映画に見るアンニュイな表現や、近代のニヒリズムでは、いずれ無気力や倦怠感が社会にはびこっていきます。また、常識に対する抵抗を表現することにもつながり、自由思想、反逆精神に繋がる受け取られ方をすることもあります。
では、日本という国ではどのように受け取られていたかというと、万葉集なのど詩歌に読まれていたり、中世では侘茶という侘しさや寂しさを積極的に表現していく試みが受け入れられていきます。その精神は日本の禅の思想と結びつき人生の奥深さを知るための便となりました。
詫び寂びに表されるのは、生じては滅する儚い世界に対して厳然と存在する不動の世界を感じる切っ掛けです。
なので、普段我々が一喜一憂する感情の世界から暫し離れて永遠で不動の世界に身を置くこと、我々日本人はそのことを庶民の意識の中にまで浸透させてきたということです。