今日のできごと
2021年 8月10日 夏
ちょうどこの頃仏壇や食卓に上がるのがデラウエアという薄紫で小粒のブドウ、ねっとりとした食感の洋ナシと、まるまる太って口にほおばるとシャクシャクと歯ごたえの良い二十世紀梨うっかりすると口からその甘い汁があふれ出す。
白と暗緑色のまだらになった粒のでかいとうきび、蚊取り線香の燃えさしと強烈な臭い、ご飯の飴た匂い、かき氷屋の店先にある巨大なかき氷機のシャカシャカ音をさせながらガラスのボールから尖った先端をギュッと抑えられたその上にさらにうずたかく氷が盛られて、店主が手際よく極彩色の蜜を掛けていたかき氷。当時は得体のしれない着色料が流行っていて赤色何号だとかチクロの甘味料だとか健康意識などとは程遠い雑多な世界に私はいた。みんなげんきで、忙しそうだった。その頃は家の玄関に鍵をかける習慣が無かった、玄関の戸に手を掛けるとどこの家の戸も開けることが出来た。子供はどこの家にも上がり込むことが出来た。そんな人と人との仕切りがとても低い世界に私はいたことがある。