今日は好日Vol.2
2023年 2月7日 緊縮か緩和か?
もちろん日本の財政がこれからどの方向に向かうのかの話だ、お前が心配してどうすると言われそうだが、この国が民主主義国家であるなら大いに関係のある話ではないだろうか、すくなとも私は国の政治を決める有権者のうちの1人であることを自覚しているからである。選挙権を有するものが政治に無関心でいることは、行政についてもすべてを受け入れますと公言していることに他ならない。 ちなみに行政に不満を持たない人に、私は今までお会いしたことがない。 さて巷では、日銀総裁人事などのニュースが告げられている、この人事が我々の生活に与える影響を考えてみるとかなり深刻なことが分かる。簡単に言えばこれから金利や国債の買取などにみられる金融緩和は続くのかどうかということになるからだ。 これまで、世界の中央銀行で日本だけが利上げを拒み金融緩和を維持してきた。そのため他国が早々利上げを続ける中で日本だけが異常な政策をとっていたように世界では映っていたかもしれない、それでは日銀がなぜこのような政策を続けてきたのかといえば、金融緩和のゴールである景気循環が一向に起こる気配が見られないからだ。本来はこの機に乗じて政府による財政出動が求められるところだったが、ひところの公共投資は諸悪の温床であるとされて行政改革が進められてきた経緯もあり、財政出動イコール無秩序なお金のバラマキになってしまった。 お陰で災害対策も新規事業や、研究開発にまで政府からのお金は回らなくなった。その一方で、日本企業の持ち株体制は剝ぎ取られ、その結果日本の技術力は知的財産も含めて海外に渡る手筈が着々と進んでいたのだ。 ところで、現在我々の生活をかろうじて支えているのは何かといえば、日本が過去に積み上げてきた資産である。それはまさに団塊の世代が世界中から血眼になって集めてきたお金である。しかしながらそのお金についてもただ保管しておくだけでは、価値がいつまでも担保できるわけではないのだ。それを維持するためには価値を裏付けする何かが必ず必要になる。ではその何かとは極論すれば、そのお金を必要とする人がいるかいないかなのである。もし世界にたった一人しか人間が生存していないとすれば、そこでお金に価値は生まれるだろうか、当然ありえないのである。 ではお金の価値を維持するための何か政策があるとすれば、それは円を必要とする人を世の中に増やすしかないのである。つまり円の価値を維持するためには円を必要とする人口が増えなければ、その価値は維持できないからである。これに対し政府の借金が増えるから人口を減らせというのは幼稚で短絡的な考えとしか言えない。では少子化対策のためにはと考えれば、無秩序にお金をばらまくことではなく必要なところに必要な資金を流して経済を活性化することだ、企業が投資をためらっているような場面では政府が率先して新たな投資戦略を展開することが、先の公約ではなかっただろうか国民はその言を信じて1票を投じたはずなのだ。政府はその投資戦略を国民対し明確に示す必要がある。 ところで、円の価値を支えているのは国内だけのことではない。日本は国民に対して債務を負っているが、同時に海外の債券も保有している、つまり海外に対しては債権者の立場にあるのだ。またその債権の中心となるUSドルとは協定を結んでお互いの通貨が値崩れすることのないようにしてきている。 つまりお金の世界でも日本の円は世界と密接に繋がっている、このためUSドルに通貨の信用を依存する日本にとって、万が一USドルの信用が失われるようなことがあれば、円の信用もすぐに揺らいでしまうことになるのだ。 ところが現在進行中の戦争によって、これまで常に優勢であったUSドルに暗い影が差そうとしている。それは基軸通貨USドルと原油の関係が微妙になってきていることにある。このままの状況がさらに進めばUSドル1強の世界とは別に新たな経済圏が誕生しかねない状況になっているのだ。だからこそ私はエネルギー保有国との関係は慎重であるべきだと思っている。日本が直面している国防の危機はミサイル攻撃ばかりでは終わらないのだ。