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今日は好日Vol.2

2024年1月5日gallery,ようこそ,自作俳句絵画 無意識

2023年 2月11日 五千円札の肖像

Series D 5K Yen bank of japan note - front.jpg   ウェキペディアより         さて、この肖像画はどなたのものかといえば新渡戸稲造氏である。お恥ずかしながら私はこのお札が使われる昭和59年までその名前に気を止めることは無かった、はっきり言って教育の場で熱心に学んでいなかったからだろう。ところが、私がいつからか名前を気に留めるようになったのはTV番組のお陰だったような気がする。 そんな新渡戸稲造氏が生まれたのは江戸時代の1862年で彼は農学者であり、「武士道」という本の世界的に有名な著者でもあった。この著書がきっかけで1920年の国際連盟発足時、初の国際連盟事務次長を務めることになる。鎖国時代から開国間もない時代に生まれた人間が60年を経たとはいえ国際連盟という檜舞台に立ち、第一次世界大戦によって疲弊した国際環境で平和を再興するという大役を担うことになったのである。 この世界大戦はそれまでのヨーロッパが体験した戦争とは、その悲惨さにおいて想像を絶するものだった。戦場には次々と新兵器が導入され、その威力は1日で何十万人の若者の命をあっという間に奪ってしまった。この恐怖を乗り越えるため、人類が編み出した解決策が国際連盟なのだ。ところで、この結果についてはすでに承知の通りなのである。 さて、このような状況での新渡戸事務次長の活躍は目覚ましかった。なんと就任の翌年スウェーデンとノルウェーとの間にあった100年に渡る領土問題を解決させるに至ったのだ。この解決によってどれほどの人命が救われることになったことか、このことを最も感謝しているのが、長い間の戦争で疲弊していた2つの当事国だ、おそらく新渡戸氏の知名度は母国の日本よりも高いのではないかと思われる。 ところが、そんな氏の正義感はこれで止むものではなかった、氏は世界で初めてこの檜舞台において人種差別の撤廃を提案し続けている。周りは白人ばかりの世界で黄色人種の氏がたった一人で訴えるのである。想像するだけでも震え上がってしまうが、これが彼の志した武士道というものではないだろうか、結果的にこの提案は否決され立場を失った日本は後に国際連盟から脱退することになった。 この様に当時から氏の行動には内外から相当な非難が浴びせられていたようだ。しかしながら氏の至った行動には日本人のプライドを何よりも守ろうという気概を感じる。今の日本に比べれば、工業力も経済力も無きに等しい環境で、氏は日本人に伝わるプライドを頼りに奇々怪々なる国際世界と向き合っていたのではないだろうか。