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2023年 日本を護るために

2024年9月6日gallery,ようこそ,今日のできごと

2024年 7月27日 なりわい

生業、要するに生活を営むための仕事、生きる糧、飯のタネなど生きるための労働といえばわかりやすいだろうか、いずれにしても若い方が普段口にすることはあまりない言葉だと思う。ところがこの言葉を改めて調べてみると崇神天皇まで繋がる由緒正しい言葉なのだそうだ。

今日この言葉をテーマにしたのは、地方が活性化するためにはここにスポットを当てる必要があるだろうという思いからだ。これまでも地方の活性化のためには、様々なアプローチがされてきた。とはいえ人口減少を食い止めるまでとなると、さらに遠い道程を感じる。そもそも過疎化に悩む地方が、活気づいていた時代を思い返せば、どうしてもそこに住まなければならなかった必然性が見えてくる。

それがいわゆる生業というものだろう。たとえば私が暮らす北海道では農業、林業、水産業そして炭鉱が以前から道民の生業となっていた。ところが現在はこの生業自体が斜陽産業となり、生業としての機能を果たせなくなったということだろう。そこで現在は、この生業を手放し新しい生業を見つけていくのか、或いは以前からあった生業を復活させていくのかを選択する最後のチャンスになる。

というのもこれらの生業を継承していくにあたっては、その土地で経験を積まなければ得られない情報がほとんどで、私はこのうち林業が最も対策が大掛かりで、継承の難しい事業と考えている。その為には国を挙げての取り組みが必要で、もしこのままこの事業が消えてしまった場合、復活させるためには個人の力で何とかできるレベルではなくなってしまう。

具体的に言えば木を切りだす技術も当然必要なこととして、それを運搬し加工場に運ぶためには林道、鉄道、港湾、トラック、製材所といずれも巨大な施設が必要になる。ところがこれほど大掛かりな産業にもかかわらず、現在の日本はそのほとんどを輸入に頼る一方でパルプはもとよりフニャフニャの割りばしを見るにつけやるせない思いが溢れてくるのだ。これほど円安が問題になるのであれば、そうそう国産木材の利用を増やせばいいのにと思ってしまうのだが、一度出来た道は簡単に切り替えることは出来ないものらしい。

それにしても、この先良質の木材が手に入らなくなってしまったら、どの様なことが起こってくるのだろうか、恐らくそれは日本の木工技術の衰退を意味することになるだろう。というのも日本文化と木材の関係を見れば世界最古の木造建築である法隆寺の五重塔に代表されるように、この建築物は世界最古にもかかわらず世界最高の耐震建築物なのである。これ以外にも日常使う指物の世界においても植林の技術が失われてしまえば、どれほどの打撃になるか想像がつかない。しかも植林が生業として成立するためには何十年単位の植林計画が必要になり、これを現在の経済理論に当てはめることは前例のない取り組みになるだろう。

何を言いたいかといえば現代の経済理論でこのように壮大な社会環境を語ることは出来ない。結局日本人は日本人の叡智によってもたらされた新たな経済社会を構築しなければ、日本人の大切な理想を受け継いでいくことは出来ないのである。

「天壌無窮」てんじょうむきゅう日本書紀にある天照大御神がニニギノミコトに授けられたお言葉である。(写真は函館八幡宮にある高田忠周氏の書で、氏は昭和天皇より国宝と称えられている。)