令和 あくび指南
2024年 6月16日 あれもデジ、これもデジ、全部デジ
さて巷ではデジタルという言葉が市民生活と切っても切れな状況になっている。つい先日まで電気代やガス代は葉書で届くのが当たり前だった。ところがこれからはスマホかパソコンで確認しなければならないそうだ。確かに紙媒体を中心にした社会はデジタル社会に比べれば無駄が多く、環境に易しいとは言えない。
だからと言ってとっととデジタルに切り替えることが幸せな社会に繋がるのかと問われれば心もとない。とはいえ急速な高齢化が進む現代においてはこの問題は待ったなしの状態だと思える。
そこでデジタル化の呼びかけに対し反対の声が上がっている証明書類の一元化とそれに伴うデジタル化の問題点についてあらためて考察してみる。まずはこの取り組みのメリットについては高齢化が進む中、老人が多様な証明書類を管理することは大変な労力が必要で、これがスマートホンさえ持ち歩けば事足りるとなれば、外出が容易でない高齢者にとっては夢のような技術なのである。あるいは老人以外の方も証明書が足りずに無駄足を運んでしまったという経験をお持ちの方も少なくないだろう。このような無駄はすぐにでも改善されるべきだと思うのだが、何故かこの取り組みが進まない。
その原因は何かといえば結局のところ政府に対する不信感なのである。国民が政府の動きに対し全幅の信頼を置いていれば、日本人はお上の言うことには黙って右へ倣えなのだ。ところが現在では、それでは危険だという所まで政府の信頼が揺らいでしまっている。
因みに日本国民はデジタル化による証明書類のどこに不信感を持っているのかといえば、個人口座と証明書類が結び付けられてしまえば。政府と対立する考えや思想を持った個人は、政府によって簡単に制裁を受ける可能性が残るからだ。要するに選挙に行かなければ税金を控除しないとか、ビザを発行しないとか、裁判に訴えるまでもなく簡単に制裁を科される可能性があるというのだ。こうなると国民は便利性を取るか、自由を取るかの選択になってしまう。
さて、このような状況の打開策として政府が用いたのがマイナポイントというお金のバラマキだ、このポイントが現在まで、ことあるごとに増してきているのだが、このポイントもいずれ税金として帰って行くのだろうという思いなのである。しかも頑強な抵抗勢力にはこの手も通用しなくなってきている状態だ。そこでこの問題を解決する糸口を私なりに考えてみた。
それは国民認証サービスという株式会社を設立しあらゆる個人認証行為をこの会社の認証サービスに紐づけてはどうかという提案だ。ただしこの会社はあくまでもスマホの利用者が本人だということを証明するものであって、このサービスを利用する機関が保有する個人データとは紐づかない。またこのような機関は常に個人認証の精度を高めていく必要があることから、複数の事業体がこれに参加し、認証精度の研鑽を積んでいくことが必要になる。
あらかじめ断っておくがこの企業も大変な利権になる可能性が高いので、せめてこの分野の投資はその公共性も鑑み日本のETFによる株式保有にしなければならないと思う。
それでは具体的に政府がこの情報を利用した場合の流れを検証してみる。まず、政府による個人の証明書発行は、認証サービスにより特定された個人のスマホに直接発行することになる、このとき個人のスマホに送られるのは証明書のみで個人のデータは関係機関が管理するものとする。そのため証明内容の個人データは外部に漏れることはない。つまり健康保険証などのセンシティブ情報は健康保険証の発行母体である全国健康保険組合が従来通り管理することになる。そしてそこにある個人データは個人のスマホからのみ請求が可能で、これを使用する事業所は個人スマホを経由してデータを受け取ることが出来る。また、金融機関などももこのサービスを信用し決済機能や融資を行うことが出来るので、これにより複雑なパスワード管理も証明書の提示も必要がなくなり金融機関にとっても事務作業の効率化等に役立てることが出来る。
そしてこの取り組みの最も重要なところは個人が認証サービスの提供をコントロールできるようにすることにある。つまり個人が認証情報の利用を利用先にたいして制限することが出来るようにすることだ。これにより場合によっては紙媒体の取引になる可能性もあり得るのだ。
ところで、デジタル情報といえば今更エクセルの計算が信用出来ないという人も少ないだろう、人間が入力を間違えない限り間違えが起こるとは考えないのが常識になっている。ところが昨日昼食を取りに伺った店でお客さんの怒鳴り声が店中に響き渡った。その内容は自分が注文したのは蕎麦ではなくうどんだというのだ。とはいえその店は券売機を備えた店で、普通は自分の入力ミスと認識するところだが、結局うどんがすぐに運ばれてきたのを見ると店が泣き寝入りした形になったのだろう。そこまでされても、その客は腹の虫が収まらず発券機のデザインにまで怒りをぶつけていた。それを横目に見ながら、そういえば私はマイナポータルの使い方が分からず電話のサーポートを受けていたことを思い出した。
あまり関係ないけど一句「サービスの 煎茶に氷 夏は来ぬ」