新日本を護るために
2024年 10月16日 トップのポリシー
企業の業績如何はやはり、トップの資質に大きく影響される。このことが最も分かり易い例が、いまの自動車業界のように思う。と言うのも最近発表された四半期決算にこの影響力がはっきり表れているからだ。それは今年の8月初めに発表されたトヨタの輝かしい決算に見られる。そこには売上、営業利益とも前年比17%増という発表があった。ところが国産メーカーの双璧ともいえる日産自動車の決算は少し様子が違っていた。それによると日産自動車の場合売り上げは昨年より増えているものの、営業利益は逆に落ちている、これでは自動車を作っても、売れれば売れるほど赤字になると言われても仕方がない。これでは余程コストのかかる製品づくりを行ってしまったということになる。早合点する人はすぐに合理化という言葉を口にしたがる。果たしてこの原因は製造コストの問題だろうか。
実際にこの原因を生産ラインに見つけることは出来ないだろう。要するに設計の段階で赤字になる製品がラインに乗るはずがないのである。ところで日産と言えば日本を代表する自動車メーカーではあるが、不思議なことにこのように奇妙な現象が地球の裏側にあるドイツの高級自動車メーカーアウディーでも起こっていた。
物心ついて時から自動車に憧れる我々世代にとってアウディーと言えば、いまやランボルギーニやドゥカティなど世界のハイエンドメーカーを傘下に収める優良企業である。これほどの企業が、ここ最近の決算報告において営業利益どころかとうとう売り上げまで落としてきているというのである。では一体何がこの差を生んでしまったのかと言えば、ハッキリしているところではEV化の投資戦略にある。と言うのもこれらのメーカーは早くからEV化に取り組み内燃機関からの脱却を宣言していたからだ。ところがこのEV化が進めば進むほど、世界中に、これによるトラブルが顕在化してきたのである。その一方トヨタ車は、内燃機関の有用性を世界に訴え続けEV化一辺倒の市場に一石を投じてきたのである。自動車と言えばファンツードライブに象徴されるように娯楽の一つと捉える向きもあるが、過酷な環境においては人の命を委ねなければならないという、シビアな工業製品なのである。おそらく今現在世界中がトヨタ車に注目しているのはそのような事情からだろう。
さてこのような環境においてトヨタの経営を救ったのは豊田章男会長の存在失くして在り得なかったと思える。と言うのもこれに対する世界の風当たりの強さは尋常ではなかったからだ。ここ最近の話題ではパリオリンピックにおいてトヨタが開催を目前にしてスポンサーを降りるという事件があった。これなども世界のトヨタに対する風当たりの強さを物語るものだ。つまりトップのポリシーはこのような場面においても、怯むことなく発揮されなければならない。これほどトップのもつポリシーには一貫した思いがなければならない、それは全世界を敵に回しても貫くという覚悟が求められるからである。
とはいえこのことは会社経営に限られたことではなく、国と言う組織においてもなおさら変わることがない。因みにこれに関して日本のエネルギー政策に目を向けてみれば、日本は大変お寒い状況にある。このような危機を脱するためには政府が、国家戦略としてエネルギー政策を前面に押し出し、企業と協調して真っ先に取り組むべきことなのである。ところがいまだに、現政権からこれに対するビジョンは示されていない。恐らくこのままでは、これまで通り風車や太陽光パネルを更に増やしてしまう方向に向かうに違いない。
これにより野山はもとより日本の美しい景観全体に、すでに深刻なダメージが表れている。今始まった選挙はまさに国民が、このような窮地に対して自らの手でこの苦境を脱するチャンスである。特に比例区の投票は、国会に民意をハッキリ示せる紛れもない一票となるはずだ。