新日本を護るために
2024年 12月17日 日本の復興
先ほどドイツの連邦議会がショルツ首相の不信任を可決し、これを受け大統領は議会の解散を決定した。もはやこれしかなというのがドイツ国民の選択なのだろう。結局つぎはぎだらけの連立では、まともな政治は出来なかったと言う事なのだ。
さて、このような混乱がEUの主要国で次々起こるのは明確な理由がある。それは各国の経済的惨状にハッキリと現れているのだ。というのもこの現象はドイツばかりでなくフランスでも顕著にみられていた。例えばドイツ経済を例に挙げれば、これまでドイツ産業の牽引車であった自動車産業が軒並み国内工場の閉鎖や経営困難に直面していることだ。その結果今ドイツでは30万人もの失業者が見込まれるのだという。そしてこのような悲惨な状況にドイツを追い込んだのは、EUに追従するショルツ政権の失策だとドイツ国民は判断したのだろう。これにはウクライナ戦争支援、再生エネルギー化への失敗で、これによりドイツ経済はエネルギー価格高騰による急速なインフレを招き、さらにIMFによる高金利政策がドイツ経済に止めを刺した。また国民の命を支える農業政策も同じ道を辿り、EUの農業はいまもトラクター一揆以外に打開の道を探ることは出来ないでいる。
ところで、岸田政権から石破政権に引き継がれた日本の状況も、残念ながらまるでこれに続く状況にある。とはいえ日本経済がこれまで崩壊を免れていたのは、安倍のミックスを推進してきた日銀がG7という立場にありながら、他の中央銀行に追従せず金融緩和を続けてきてくれたお陰といって良いだろう。これにより利益率の低い国内の企業は何とかこれまで凌いでこれたのである。早い話がEUに倣う経済政策は国民を地獄に突き落としかねないと言う事なのだ。つい先日故安倍首相の妻である昭恵夫人がトランプ次期大統領を訪問し日本の総理大臣との仲を取り持ってくれたという。それにしても、税金を払う立場のお方が、税金からお金を受け取るプロを助けるとは、何とも腑に落ちない出来事で、そればかりか、先の選挙では仇に思われても仕方がないほどの人を取り持つとは、これには日本の為と思えばこその気高さを感じる。せめてこのことを利用したなどと世間から後ろ指をさされないように、これに甘んじるのではなく責任を預かる立場の人であれば、日本人として潔い実の処し方を願うばかりだ。
さて、このような局面で、これからの日本経済行く末は、内需拡大に頼らなければ日米関係はおろか日本の存立自体が立ち行かなくなるだろう。そのためには、一刻も早くお金を日本の隅々にまで行き渡らせなければならない。とはいえこれまで経済学者が訴えてきた企業が潤えば日本が潤うという構造は間違いであったことを認めなければならない。そのことは現在の日本を見ればよくわかる。つまり、嘗ての日本人が飛びついた構造改革や消費税は日本経済の弱体化でしかなかったと言う事だろう。
そこで何度も言うように、消費税の廃止と法人税率の見直しはセットで行う事こそ価値が生まれるはずだ。逆に政府が今行っているのは103万円の壁106万円の壁というまるで左官職人の話のようだが、あれだけ世間を騒がせておきながら結局、厚生年金の加入制限を撤廃することによってこれによる当初見込まれていた、労働者の手取りを増やすという目的は達成できないばかりか、これではアルバイトだからと言って企業は簡単に賃金を払えなくなる。つまり収益率の低い企業は最低賃金を上げるどころか支給額からこの費用を削らなければ経営が立ち行かなくなる可能性も出てきた。この期に及んでこの政策はもはや政府の目には、国民生活は映っていないのかとさえ思いたくなるのだ。しかもすでに国家公務員は賃上げを済ませている状況では、もはや賃上げも自分たちの懐の為かと言われかねない状態だ。
さて謎の多い消費税だが、導入当初は「目的税として福祉のために広く浅く、企業にばかり負担を掛けるのはおかしい」などと言う言葉が使われ導入されることになったのだが、実際この税金の使われ方も、広く浅くなどの言葉もどこにも当てはまらない不思議な税なのである。
というのも最終的にこの税金を国庫に納めているのは企業であり、個人がこの税を納税することも、この分を税金の預かり金として経理している企業もない。要するに出所は売り上げから支払われる法人税と全く変わらないのだ。違うのは1000万以上の売り上げがあった企業は、儲かってももうからなくても納めなければならないという税金であり、法人税のように人件費の控除は認められていないという特徴がある。つまり、この税金の割合が増えれば増えるほど企業には人件費控除による節税は利用できなくなるのだ。となると、この税金を増やすことによって一体誰が喜ぶのかという思いになってくる。
話を整理すると、もし法人税の税率を上げると言う事に成れば、企業は躍起になって人件費控除を増やすに違いなのである。このことは企業の福利厚生や離職率を下げる効果が見込まれ、しかも優秀な人材を集める動機になるという企業にとってのメリットは大きい。このようなメリットが法人税にあるにもかかわらず、経団連は何故ことさら消費税を推したがるのか私には謎なのである。しかも現在の法人税を見ればその累進課税率は上限が23.2%であり、その下は800万円以下所得で15%というざっくりした税率なのである。では個人の所得税はどうかといえば、なんと7段階に細分化され最高税率は4千万円以上の所得層で45%となっている。つまり政府は何故か個人所得には当たり前に厳しい累進課税を適用し法人税にはほぼ関心を向けない、これではいわゆる弱い者いじめとも言われかねない税制に執着してきたのである。私はこの動きを省庁からの意向というのは考えづらいものと思っている、というのは省庁の人事権はやはり政府にあるからだ。
さて、失われた30年とも言われる日本経済だが、不思議なことにこの辺りでバーゼル条約という自己資本比率に関連する法律が登場してくる。簡単に言えば取り付け騒ぎを起こさないように、銀行も企業もそれに見合うだけの現金をストックしましょうという法律なのだが、これにより内部留保という言葉が巷で飛び交うようになった。この資金のヤバいところは資金を簡単に設備投資や運用に当てられなくなることだ。このため日本中でたとえ企業の儲けを出しても資金は社内に滞留してしまう。因みに2021年にはこの額がなんと512兆円にも上っているという。これだけのお金があれば日本企業の倒産などありえないはずなのだが、今年だけでもすでに7000件以上の企業倒産が報告されている。ではこの事態を解決するためにどの様な対策が考えられるのか、アメリカではすでにFRBに対する改革が、取り上げられているのだが、一番の問題は緊急事態においての被害をどのように食い止めるかが問題なるだろう。そこで企業に緊急事態における転換社債の発行を認め、これを全額国が買い取るという法律を作ってはどうだろうか。このようにすれば窮地に至った企業が外資に買いたたかれ大切な技術や社会インフラが海外に渡る危険を抑えることが出来る。
このようなことで資金を国内に流通させ円の価値を担保しつつ経済を活性させることが出来るはずだ。何はともあれ、まともな政府の誕生が先決になる。