新日本を護るために
2025年 12月25日 国の借金
昔ある国の国王は国民に命じて壮大なピラミッドを建設した。そこでその建設に使われたのは国民から徴収した税金だった。国王は税金の中から作業に見合う分の金を国民それぞれに支払った。すると国民はピラミッド建設に携われば携わるほど、どんどんその家には金が増えていった。ところがある日、国王の手元にはとうとう金が無くなってしまった。
そこで王は考えた、この国が存在する限り国民は毎年税金を納めてくれるだろう、だとすればここは国民に前倒しでお金を借りることにしよう。そして国王はせっせと国民に借用書を書いた。そうこうするうちにこの国には壮大なピラミッドが完成し、その噂さを聞き付けた周りの国から大勢の観光客がその国を訪れ、観光客が増えるたび国の旅館は泊まり客で一杯になった。しかもそれに合わせて土産物が飛ぶように売れるようになっていった。
いつしかピラミッドの周りには市が立ち、人々が集まって大変な賑わいになった。すると国王の下には以前にもまして多くの税が集まるようになったので、国王は借用書の期日が来るたびに、国民へどんどんお金を返済していった。ところがある時、借用書をもって一人の国民が国王を訪ねた。「借用書はそのままでいいので、また新しいピラミッドを建てて下さい」という。というのも国民の家にはすでに十分な金があり、できれば子孫のためにも、もっと多くのピラミッドが欲しいというのだ。
さてこれは私の勝手な空想話だが、これを現在の日本に当てはめてみると、今日本に必要なものは何かが見えてこないだろうか。要するに1200兆円を超えるという国債残高の話で、この譬えでは国債残高とは国王の借金に当たる。ところが国王の支払いが増える度、国民の家には賃金が支払われ、それが充分行き渡っていれば借用書での支払いも国民にとっては何ら不都合ではなくなってくる。つまり国の借金を国民の借金と考えると誤解が生じ易くなるのだ。一番の問題はこの話のように、国民に将来価値をもたらすことの出来るピラミッドを造ることが出来るかどうかで、もし集めた税金を何の価値も生み出さず、砂の上に撒くようなことをやっていれば、結局徴税は国民の負担でしかなくなる。このような国ではそのうち国王の借金は返済のめどが立たなくなり、国としての纏まりも維持できなくなるのである。特に戦争に費やされるようなお金を私はその最たるものだと思っている。要するに戦争中の国に対し資金援助をすることは戦争継続を煽ることに等しい、ハッキリ言って私はこのような歳出を砂の上に撒く金だと思っているのだ。とはいえ、歴史的には戦争を仕掛けて相手国から戦利品を奪うという事実も存在したわけだが、戦後硬く不戦の誓いを立てた日本国憲法はこのような事への戒めだったのではないだろうか。