ヨッチャンはかせ
ヨッチャンはかせのしんぱい
今日はお昼近くに、田舎に住んでいるおじさんが遊びに来た。
おじさんは畑で野菜をつくっている。野菜がそだったら市場まで運んで
その帰り道、ヨッチャンのお家にも野菜を少しおいていってくれる。
ところで、今日はヨッチャンはかせにもおじさんからのお土産があった。
おじさんは、ヨッチャンの家に着くと、すぐに大声でヨッチャンをよんだ。
「よっちゃん、おみやげ」おじさんが手をさしだすと手には、干からびた虫のようなものがのっていた。
「ヨッチャン、セミの幼虫見たことあるかい、これは幼虫のぬけがらだよ」
おじさんの手には、小さな虫のぬけがらがのっていた。
ヨッチャンはセミのぬけがらを見るのは初めてだった。
ヨッチャンは嬉しくなった。
ぬけがらは頭のてっぺんから、きれいに割れていた。
おじさんは市場に野菜を下ろした時、トラックの荷台に
くっついていたセミのぬけがらを発見したそうだ。
おじさんはヨッチャンが喜んでいるのを見てうれしくなった。
「ヨッチャン、セミは何年生きれるか知ってるかい」ヨッチャンが首を振るとおじさんはうれしそうな声で話した。
「じつはね、セミは幼虫のまま5年以上も土の中で暮らしているんだよ。ひょっとしたら、このセミはヨッチャンより先輩かも知れないね。」
ヨッチャンはおじさんのおみやげに、うれしくなってセミのぬけがらをお母さんに見せたくなった。
でもお母さんの顔を見たら、お母さんは虫が大嫌いなのを思い出した。
お母さんは近くで虫を見つけるたびに、ヨッチャンをよんで追い払ってもらっていたのだ。
お母さんはヨッチャンが、かけよってきて急にだまり込んだので心配になり声をかけた。「どうしたのヨッチャン」
ヨッチャンは、セミのぬけがらをそっと手にかくして、お母さんのお顔を見た。
ところがヨッチャンはかせは、お母さんの頭のてっぺんを見て、もっと心配になった。
そしてヨッチャンはかせは、すっかりだまり込んでしまった。
「お母さんがぬけがらになったらどうしよう」