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今日は好日Vol.2

2024年1月5日gallery,ようこそ,自作俳句絵画 無意識

2023年 4月14日 テロワール

フランス語で大地を示す言葉だ、さらにこの言葉は地球そのものを指すテラへとつながる。日本人がイメージするフランス人は、アートを愛し美食を愛するとてもおしゃれな人たちというイメージだ。中でも美食に対する情熱は中国人と甲乙つけがたい、とはいえ日本人がフレンチといえばフランス料理のことを指し、しかも改まった場での晩さん会はフランス料理と決まっていることから、単なる食いしん坊ではなく食文化という確固とした地位を築てきた。

ところが最近このイメージが揺らぎだしている。というのも2年に一度開かれるボキューズドールという国際的な料理人のコンクールの、結果は今年参加したフランス人にとっては厳しい結果となった。そもそもこのコンクールはフランス料理の帝王として君臨したポールボキューズ氏がフランス料理の継承のために1987年に設立したものだ。というのも当時から料理の最先端はスペインや北欧がリードしていて世界の注目はそこに集まっていた。そんな料理界で再びフランスにその存在感を取り戻そうと、やむにやまれぬ思いから設立されたのがこのボキューズドールだろう。

そんなフランス料理の基本をなす理念とはテロワールという思いに違いない。それは、フランスの様々な土地でとれた産物をその土地に育った人間が、長い時間をかけて料理を工夫し継承してきたことで、フランス料理の名品が生まれてきたのだ。言い換えればフランス料理とは、フランスの地方料理の集大成ともいえるのだ。ところが、最近は日本料理の味噌や醤油までよく登場するのが流行りらしい。日本人としてはとても誇らしくもあるが、このようなことは、テロワールという料理の理念から土地柄や歴史という、これまでのフランス料理を支えてきた理念を捨て去ることになるのではないかと心配になる。もちろんこのことに一番悲しんでいるのは、ポールボキューズ氏に違いない。

さてこのような文化的劣化は料理だけにとどまらない、通貨や外交など国としてのありようも失われようとしているのだ。

話は変わるが、最近フランスの大統領が中国を訪問したそうだ、アメリカの混乱に乗じてともとられかねないタイミングだが、かの国は現在EUの加盟国であり、NATOの加盟国である、しかも5月に開かれるG7の参加国なのだ。これだけのしがらみを背負っての訪問となれば、当然他の同盟国はその挙動に注目せざるをえない。この訪問よって世界に発信されたのは中国に対する経済制裁の正当性と、台湾有事に対する協調関係を乱してしまったことだ、ではこのことが今後の世界にどのような影響を及ぼすのか私には残念なイメージしかない。