G-BN130W2PGN

お問い合わせ先

mail@makotoazuma.com

 

2023年 日本を護るために

2024年9月22日gallery,ようこそ,今日のできごと

2024年 6月20日 有識者って何!

私はよく毎日これだけぼやけるものだと我ながら呆れてしまうが、今日もとある女性雑誌の見出しを見つけぼやきたくなった。その見出しには「日本の貧困化はアベノミクスに責任」有識者が怒り告発 年収500万円世帯は実質60万円の収入減にとある。

中身を読むとさらに過激で、これまでのアベノミクスは円の暴落を招いただけだと言い切る。これが有識者の告発によると書かれているがどんな有識者なのかは書かれていない。はたしてこれは事実なのかといえば、現在の為替は10年前の為替相場に比べ円安に動いていることは事実としても円安が庶民の生活を圧迫しているだけのように書くのはどんなものだろうか。

というのも現在の物価上昇は円安のせいで、その元凶がアベノミクスだというのだ。ではアベノミクスが始まったころの円相場は90円ほどで現在は160円を目の前に取引されている。それでは株価はどう動いたかといえば、アベノミクスが始まった当初は9,000円そこそこで、現在は4万円に届こうという勢いである。このことを預金として資産を考えれば確かにアベノミクスは資産を停滞させてしまったが、一方資産を日本株で運用していた人にとっては価値を4倍に押し上げたことになる。そればかりでなく我々の納税で賄われる税収をみても史上最高額を記録し、もしこの分を国民から直接徴収していたとしたら、それこそ国民の生活は破綻してしまっていただろう。

とはいえたしかに円安は、海外投資家の日本株買いを進める要因になっていることは間違いないが、そうはいってもそもそも日本株に価値がなければ、いくら株が安値になったとしても投資家の購買力がそそられることはないのだ。むしろ為替について言えば、機械化が進み、機関投資家や個人投資家による先の読めない取引が続いている。つまり為替の動きを読もうとしても金利差どころか需要供給の関係ですらあてにならない。だとすればこの記事が指摘するようにむしろ投資家の思惑がより為替相場に反映しやすい環境なのではないだろうか。

この記事のひどさはそればかりではなく、日本の国債保有残高を持ち出し、このまま国債残高が増えればハイパーインフレにつながるといっている。たしかに信用の置けない国債を多量に抱えれば、その心配も必要になるが、日本は同時に海外の債券も保有しているのであってそれだけに焦点をあてて財政収支を語るのは片手落ちである。しかも何故国債の残高が増え続けるのかといえば政府が国債を発行しなければならない予算を組むからで、これを日銀総裁の裁量とするのは中学生にもできない飛躍になる。そもそも金融緩和には市場の国債を買い取り、現金を市場に戻すというオペレーションがあるのだ、つまり金融緩和が国債残高を増やしたというのは真っ赤なウソになる。

しかも記事の結びにはこのような文章が登場してきた。「国債の価格と金利は逆に動くので、日銀が国債の購入を減らすことで金利を上げることができます。日米の金利差が縮み、円安に一定の歯止めがかかるかもしれません。しかし、国債という国の借金の処理ができなければ、いずれ円は信用を失って、異常な円安が起こり、ハイパーインフレになる可能性は高いのです」この関係は既発債と新発債の関係に起こるもので金利の高い新発債が発行されれば既発債の利回りを買い支えなければ、場合によっては既発債の暴落もあり得ることになる。現在の日銀はこの操作を緩慢にしようというもので、国債保有者にとっては由々しき事態なのである。このようにYCCを見直すことによって既発債の暴落というのは充分想定できるようになってしまった。なのでこのような、いい加減な記事は危険なのである。この記事に識者の名前はなかったが、このような誤解を招く記事を社会に垂れ流すことは社会に対し大変な不利益となる。