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令和 あくび指南

2024年11月22日gallery,ようこそ

2024年 2月14日 食と文化

昔エミールゾラの書いた小説「居酒屋」の中に出てくる、ブランケットという料理と淡雪というお菓子がどんなものか知りたくて、近くの飲食店を探し回ったが結局見つけることは出来なかった。そこでフランス料理の本で見つけたのがアイボリーがかったクリームで煮込まれた料理と搔き立てられた卵白に琥珀色の飴が掛かったお菓子だった。そしてその本にはエスカルゴのブルギニョン風という、たこ焼きに似た料理が載っていた。ところがそれは、カタツムリを殻ごと焼いた料理だと知ってその写真を視ながら血の気が引く思いをしたことを思い出す。

フランス人はなんとゲテモノ食いの人たちかと思ったが、このカタツムリは古代ローマ人が好んで食べていた料理だと知ってさらに驚いた。そもそもカタツムリはワインの原料になるブドウとは切っても切り離せない関係にある。ようはブドウの葉についた害虫を駆除するためにできた食文化なのだ。そう思うとこのエスカルゴは将軍カエサルがガリア遠征の時に持ち込んだものかもしれない。きっとフランスの地を訪れたカエサルは、砦を築きながらわざわざ祖国から運ばせたイタリアワインとエスカルゴで、戦の憂さを晴らしていたのかもしれない。

また今ではイタリア料理の代名詞とも言えるトマトソースは、大航海時代に南米大陸からイタリアにもたらされたものだそうだ。このように見れば食文化というものは、まるで文明が刻まれた遺伝子のようにも見えてくる。

ところで今日のニュースで日本の食用コオロギの養殖会社が倒産したという記事を見つけた。その見出しにはこの会社は起業する時期が早すぎたと書かれていたが、これは無理のないことだと思っている。何故かといえば現代の日本では食料があり余り、普通に農業を営んでいれば、食糧危機が起こるというのは考えずらい。それよりも政府の農業政策によっては、このような事態になりかねないというのが私が今とても心配するところだ。

というのは今回倒産になった企業は今年1月の大臣官房が発表したフードテックをめぐる状況という資料に載っている政府肝いりの会社なのだ。この会社が倒産したということは、政府はこの農業政策について責任を問われても仕方がないのではないだろうか。実はこのような農業政策の失敗が人類に与えた被害は、おそらく戦争の犠牲者と肩を並べるほどになると私は思っている。というのも現在行われているウクライナ戦争も過去を辿ればスターリンが起こした農業政策の失敗が今でもウクライナ人の強い恨みとなっている。結局これらの失敗は土地がらなどの状況をわきまえず、机上の論理を無理やり押し付けたことによる失敗ではないのだろうか、これと同じ危機が現在西側EU諸国の農業に迫っている。

今日のニュースで目にした企業の倒産劇はこの心配を如実に物語っている、しかもこれは日本だけの問題ではない。いずれにしてもこの問題は西側と呼ばれるEUと日本の農業における共通の危機になる。というのも以前紹介した今もヨーロッパ中で起こっているトラクターのデモは、まさにこの危機に対する農民デモなのだ。簡単に言えばEUが各国の農家や水産業者の廃業を促し、その替わり何故かコオロギ食をEU全体に推し進めているのだ。私はこのことで昆虫食が悪いということを言っているのではない、必然性のない昆虫を食料とすることに、過去にスターリンが犯した失敗を重ね合わせているだけだ。つまり人類が手にした食料は何万年もの時間をかけ、人類の口に合うよう、また健康に害を与えないよう、危険な体験を繰り返しやっと手に入れたものだ。

このような事態が自然環境の変化により、もたらされたものであれば、これを受け入れるより他ないが、EUの様子を見れば明らかに、食糧危機が人為的に起こされているとしか思えない。つまり現在の農業技術を解体し、人工的につくられた食糧危機によって昆虫食の需要を創造しているということなのではないだろうか。私は現在の日本がこのような危機にきっちり歩調を合わせて進んでいるいるように感じているのだ。私の心配が取り越し苦労であればいいのだが、ひたすらそのことを祈るばかりだ。

共生というのは多様な自然環境に合せ、必然的に生まれる食文化を認めることで、決して同じ食文化を持つことではない。

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Posted by makotoazuma