2023年 日本を護るために
2023年 11月25日 二宮尊徳の気付き
ウェキペディアより
昔はよく小学校の玄関口でこのような銅像を目にした。この像から受けた印象は向学心に燃える立派な人というイメージなのだが、そちらにあまり興味を持てなかった私は、今日までどのような偉人だったのか知ずに過ごして来てしまった。ところが、今朝ほど偶然TVを点けるとこの二宮尊徳が特集されていて、番組では有名な経済学者がこの解説をされていてたので、きっと日本の経済に大いに貢献した方だろうという予想がついた。さてこの番組によると氏の功績は、幼少期に受けた災害により先祖代々膨大な田畑を失い、その復興のために自ら開墾に励みとうとう23歳で元通りの規模まで田畑を取り戻してしまった努力の人で、しかもその功績を見込まれ、小田原藩主大久保忠真より荒廃した桜町の復興を託されたのだそうだ。もちろんその取り組みは成功し、おかげで桜町はのちに起こった天保の飢饉からも難を逃れることが出来たのだそうだ。
さてこの番組の中で、何故この桜町が荒廃してしまったのかその原因について語られていた。その原因とは、重税により桜町の農民は労働意欲をなくしてしまったために町が荒廃してしまったのだそうだ。この情報を知って私はこの話が現代の日本の状況に通じるようでスルーすることが出来なくなってしまった。
確かに現代の日本も江戸時代に劣らず庶民の受ける重税感は強いように感じている。これは印象だけではなく日本の中間所得者層ではすでに負担が収入の5割に迫っている。さらにその不満を募らせているのは、現在の徴税方法にあるらしい。何のことかといえば、それが10月から始まったインボイス制度の事務負担が想像以上に大きいのだそうだ。因みにこれまでも消費税については、景気循環の足かせになっているのではないかという懸念があった、何かといえば消費税には人件費の控除がないために、これまでの法人税であれば、人件費控除による節税効果が期待できたのに、消費税にその控除はない。
とはいえレシートには確かに税負担分の表示があるが、実際に税を納めているのは1、000万円を超える売り上げのある企業であり、それ以下の企業は支払いの免除の対象だった。ところが10月から始まったインボイス制度はその収入の少ない層も課税の対象にしようという制度なのだがこの徴税方法が複雑すぎて経理の担当者はこの制度が始まる1っか月も前から、不眠不休の対応を迫られているのだそうだ。私が不合理に感じるのは、このような労働は悲しいことに全く新たな価値を創造しないところだ。つまり頑張っても報われない世界なのだ。この取り組みを頑張っても国民はもとより海外からも何ら評価を得るものではない、労働が価値を生まないというこれほど残念なことはない。しかも企業はこれに掛かる膨大な事務費を納める税金以上に負担しなければならず、このようなことが今後も続けば日本人の労働意欲は著しく低下してしまうに違いないのだ。このためベテランの社員が過重な労働に耐えきれず体調を壊してしまい、やむなく企業から離れるざるを終えないケースが増えているのだそうだ。こんなことがこのまま進めば、この先日本の経済は一体どうなるのだろうか、このことで離職者が増えたり精神的な健康被害が増えれば、政府の少子化対策など全く意味がないことになる。それどころか社会保険体制の維持すら危険な状況になるだろう。
私は徴税が悪だということを言っているのではない、今も日本の安全と社会の繁栄の為には、徴税は必ず必要なこととだ思っている。とはいえそのことで国民の労働意欲が削がれたり、健康を害することがあっては本末転倒なのではないだろうか。消費税導入の目的でもある公平な税負担とは個人の能力に応じて税金を納めることで、残念ながらその能力には個人差が歴然とある以上、納税額に差がつくのは致し方ないことではないだろうか。そんなことに拘っているよりもいかに効率よく税収を上げるかに政府は目を向けるべきではないのか。
因みに現在円安により輸出関連企業は収益を過去最高レベルまで上げている、つまり為替で企業が潤うのであれば、徴税の方向をそちらに移した方がより安定した徴税が見込まれると思われる。このような流れから考えれば、これからますます増加が見込まれる海外送金に対し課税を検討してみてはいかがだろうか。もちろん原材料や食料品とうの輸入品にお対する支払いについては課税控除の対象にすることで、国内の製造業に対してもセイフティーネットを張ることが出来るのではないだろうか。これには金融機関の負担は多少大きくなると思うが、取引の頻繁に行われる金融機関ではそれほど大きな負担にはならないはずだ。むしろ、それにあわせて消費税制度が廃止になれば、そのれに掛かる事務負担は大幅に軽減できる。税収を上げて国民の負担を軽くする、これが今政府に国民が最も期待することではないだろうか。