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2023年 日本を護るために

2024年9月22日gallery,ようこそ,今日のできごと

2024年 2月15日 GDPの転落?

今朝のニュースで内閣府の発表によると日本のGDPがドイツに抜かれ世界4位になったという報道があった。ではこの報道は日本人にとって良いニュースか悪いニュースなのかという話だが、さてどうだろうか。

このようなニュースを聞けば、ほとんどの方は日本の経済はドイツより衰退したと思われるかもしれない。正直言って私も別な意味でこのニュースはあまり良いニュースとは思っていない。ところでこのニュースで気を付けなければならないのは、これは名目GDPの数字だというところだ。名目というのはインフレの数字は考慮していないということを示している。つまりインフレの勢いが止まらないドイツとインフレが思うように伸びない我が国とを比べれば当然ドイツのGDPが伸びるに決まっているのだ。因みにドイツのインフレ率は約13%ほどあり一方の日本は2%そこそことなっている。

では何故ドイツはインフレになったのかといえば、それは戦争によって、どうしても生活に必要なエネルギー供給が滞り、そのためエネルギー価格が高騰するというコストプッシュ型のインフレに見舞われているからだ。つまり、外国から輸入が必要なエネルギーの総量が減ればその分の支出は減ることになり、当然貿易赤字は出にくくなる。加えてインフレにより個人の支出が増えるとGDPは自ずと上がってしまうからだ。はたしてこの状態でドイツ国民は幸せな状態にあると言えるのだろうか。本来このような誤認を避けるために用いられる数字が実質GDPという数字だ。この数字によると23年の日本のGDPランキングは米ドルベースでもかろうじて3位をキープしている。

話は前後してしまうがそもそもGDPとは何か、改めて調べてみると付加価値の総量という言葉が目に入ってくる。この付加価値を物の値段で表現すると値段から原価を引いたものが付加価値だ。さらにこの付加価値は支出と釣り合うので、支出の数字を見れば付加価値が分かるという、なにやら三段論法を用いた哲学のような解釈をする。

つまりGDPはその年の貿易収支と個人の支出、企業や政府の支出がどれだけあったかを示す数字で、ニュースにあった記事は、さらにそれを米ドル建ての数字にした順位なので、円の価値が3割近く減った現在の日本のGDPは、その価値が3割引きで表現されている。このような数字を見て日本の経済は衰退したと言い切ってしまうことは正しいことなのだろうか。

ではこの結果は日本の経済が安泰なことを示しているのかのかといえば、そう言い切ることは出来ない。日本の場合エネルギー供給は何とか維持されているため貿易収支は今のところ赤字になっている。政府も補助金を支出してGDPを押し上げてはいるが、残念ながらそうまでしても個人の支出は伸びていないのだ。それどころか23年の個人支出(個人消費)を見るとむしろマイナスとなっている。この数字を押し上げるためには個人がより多くのお買い物をして頂くほかないのだが、日本でこの支出が増えない理由は、単純に個人所得が増えないからに違いない。ところが政府は、ここにさらに増税をしようというので個人消費がますます伸びてこないのは当たり前の話なのである。

話を整理すると人口が増えれば、必ず生活必需品の消費は増える。いっぽう特定の個人に富が集中する世界では、経済のベースとなる生活必需品の需要は減り、その結果経済の方向性や安定感はいよいよ失われてしまう。因みに先ほど内閣府発表の日本のGDPが転落したというニュースは国民にいったい何を訴えようとしているのだろうか、何故かは知らないが、偶然同じ記事には「どうする日銀、マイナス金利の解除はいつ」という見出しのリンクが張られていた。私のうがった見方をすれば、これでは「ドイツのように超インフレになればGDPの順位は回復します。あわせてフロー資産の沢山持っている富裕層の皆様も金利が上がってウインウインですよ」とでも言いたげではないのか、これを腹立たしく感じるのは私だけだろうか。